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これからどうなる?−私はこう思う。
経済成長のカギを握る40代人口の推移を注視せよ
2007.06.07 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 6月6日、厚生労働省が06年の出生率を発表したが、昨年末に1.29と見積もっていた出生率が1.32と4年ぶりに回復していることがわかった。理由は、このところの景気回復で雇用が改善し、出産への意欲が高まったからだという。とりわけ1971〜74年生まれのいわゆる団塊ジュニアを中心とした世代(推計では1973〜77年に生まれた30〜34歳)の出産が顕著で、前年比3.2%増の42万人。35歳~39歳は11.3%増の17万人、40歳~45歳も9.4%増の2万人と、晩産の傾向も出生率を押し上げた。だがよく見ると、けっしてよろこばしい数字ではないことがわかる。なぜなら出生数そのものが、じつは微増にすぎないからである。

 109万人の出生数のうち、第一子が52万人(前年比増加率2.4%)、第二子41万人(同2.3%)、第三子以上は16万人(5.8%)で、第三子以降の出産増加が目立つ。つまり、いまだに最初の出産を躊躇している女性が多いことがうかがえるのだ。さらに、出生率を算出するときの分母である母親になる世代(15歳〜49歳)は、突出した団塊ジュニア世代からあとは、急激に減少していく。したがって、このさき出生数が減っても出生率が上がるという妙な現象が起きるのである。

 将来を推量するときのもっとも一般的な方法は、過去から現在までの実績を同じスケールでならべ、ある傾向を探り出したら、それを未来へ延ばして、その延長線をたどるやり方だ。たとえばチャートによる株価予測がそうだし、女性が生涯に産む子どもの数を示す、この合計特殊出生率や、それをもとに算出する将来推計人口もそのひとつである。当然のこと、そうした計算には、自然災害やバブル経済の破綻のような突発的ファクターはもちろん、そのときどきの人の気分や感情の動きなど数値化しようのない要素は織り込めないので、導き出された予測数字と現実とでは、おうおうにズレが生じるのである。

 少子社会がことさら問題になるのは、生産人口が少なくなると、その分税収が減るから、社会保障制度が危うくなる。また、経済成長が減速し、国際競争力も衰えるからである。政府がITによる生産性の向上と、知財など高付加価値化を盛んにいうのは、すでに日本の人口が、いまのゼロ歳に近づくにしたがって、しだいに減少していくことがわかっているからだ。

 生産人口の多寡は、その国の経済を大きく左右する。たとえば株価だが、もっとも盛んに消費する40歳代の人口が多いときほど上がるといわれている。かつてのバブル景気のとき、消費の最前線にいたのは、まさに40代の団塊世代だった。その伝でいくと、次に人口の多い1971〜74年に生まれた団塊ジュニア世代(現在32〜36歳)800万人が40歳代になる10年後は、経済はそれまでより活性化する可能性が高いという予測が成り立つ。

 もうひとつ例証をあげると、もう止まるだろうといわれつづけていたニューヨークのダウ平均は、1991年に300ドルを突破して以降、うなぎのぼりに上昇し、2007年6月現在13000ドルに達している。周知のように、アメリカのベビーブーマーは、第二次大戦後の1946年生まれを筆頭に、64年までじつに7700万人、全人口の27%を占める大集団である。アメリカの景気が上昇し始めた1991年当時、かれら団塊世代の先頭バッターは、ちょうど45歳だった。以降、大きく減ることもなくこの人口は帯のように続き、18年にわたって年代を移動しているのである。ちなみに団塊最後の64年生まれは、まだ今年43歳。アメリカの景気が衰えを見せない理由のひとつが、この世界最大の消費のパワーなのである。

 では、そのあとアメリカの人口構成はどう変化するかというと、ほとんど微減だ。日本とは人口ピラミッドの形が逆になる。結論すると、中長期的に見て日米経済におけるアメリカ優位の構造は、さらに強固になると見てよいだろう。

(舘石淳 たていし・じゅん=『日本の論点』スタッフライター)


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