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これからどうなる?−私はこう思う。
解散・総選挙はいつか
2007.09.06 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 人心一新を図ったはずの安倍改造内閣だったが、就任から1週間足らずで遠藤武彦農相が農業共済組合補助金の不正受給で引責辞任に追い込まれるという厳しい船出となった。参院で第一党になった民主党は、10日から始まる臨時国会を「大きな政治的転換点になる可能性がある」(小沢一郎代表)として攻勢をかけることを宣言、これから安倍内閣の総辞職か解散・総選挙かをめぐって激烈な駆け引きが行われそうだ。

 参院で民主党が第一会派となった結果、議長と議院運営委員長のポストを獲得、過半数を制した野党が議院運営の主導権を握った。いうまでもなく予算案と条約案を除く一般法案の生殺与奪権が野党に移ったことになるが、これからどんなことが起きるのか。極端な話だが、一つの法案も参院で可決されず、衆院における再議決が日常茶飯事になることだってある。また、国会の同意を必要とする人事案件は、野党の意に反するものは否決され、証人喚問の実現はもちろん、あらゆる国政に関して国政調査権を駆使した調査が命じられる。さらに、野党の何よりの武器は、問責決議案を可決し、首相や閣僚の政治責任を問うことで、国会審議を機能麻痺に陥らせることができることだ。今回の農相辞任や小林温参院議員の議員辞職は早くもその効果が現われといえる。

 しかし、衆院での不信任決議案と違って、問責決議案には法的拘束力はない。したがって与党は国会運営に制約は受けこそすれ、それが解散の引き金になることはないだろう。では今後、いつ、どんな時点で解散・総選挙になる可能性があるのか。前提として考えねばならないのは、自民党あるいは安倍首相が解散を断行できる状況にあるのか、どうかである。参院選で惨敗し、起死回生を目指した内閣改造もほころびが生じ、内閣支持率は依然、不支持率の方が高く、いまや野党の攻勢をしのぐのが精一杯で、自民党の支持率も民主党におよばない現状では、とても解散・総選挙には踏み切れないだろう。

 自民党の本音は、いまの305議席を維持し、できる限り総選挙を先送りしたいはずだ。一番望ましいのは2009年9月の任期切れだ。しかし、改造内閣はスタートしたばかり、テロ特措法の延長など実績を積み上げ、少なくとも環境問題がメインテーマとなる08年7月の「洞爺湖サミット」を成功させ、その勢いで解散・総選挙に打って出るか、あるいは、08年度予算案が成立したあとに国民に信を問いたいところだろう。

 いっぽう、参院選惨敗にもかかわらず、あえて続投の道を選んだ安倍首相が、党内外の退陣論を敵に回して正面突破の解散を断行するのではないか、という見方も永田町の水面下でささやかれている。このときの安倍首相の大義名分とは、自ら総裁選で掲げた歳出削減と成長重視の「小さな政府」路線の推進と、自主憲法の制定、官僚統制の打破を軸にした「戦後レジームからの脱却」の旗だといわれる。そして目指すのは「自立し主張する保守政治」に同調する仲間を結集=政界再編だ。

 いっぽう、民主党の小沢サイドでは、できるだけ早期に、すなわち今回の臨時国会終了後にも解散・総選挙に追い込みたい思惑がある。しかし、これとは別に、民主党では政界再編を視野に入れたシナリオが検討されていて、それは、来年1月の通常国会の冒頭に解散があるとの想定に立っている。これは、総選挙後にいっきに政権交代を実現させるため、あらかじめ自民党内の反安倍グループ勢力や国民新党、無派閥議員らとの連携を深めておき、さらに公明党・創価学会を連立から離脱させるなどの多数派工作を仕掛けるというものだ。

 衆院は自民党、参院は民主党が多数を占める「ねじれ国会」がいつまでも続くことは、国内政治が混乱するばかりか、激変する世界情勢への対応に遅れをとりかねない。国民生活にとっても迷惑このうえない現状をできるだけ早く解消させる必要があろう。そのためには、どんな国づくりを目指すのか、各政党、各政治家とも明確な選択肢を国民に明示すべきことはいうまでもない。年金と、政治とカネの問題ばかりがクローズアップされた参院選では、その論争の機会を失った。総選挙の結果、政策や信条で一致する個人が新しい政党をつくる――いまほど政局ではなく、本当の意味での政治改革、いや政治家の理念の改革が求められているときはない。

(松本泰高=まつもと・たいこう、政治ジャーナリスト、『日本の論点』スタッフライター)


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