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改正パートタイム労働法で正社員化は進むか?
2008.04.03 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 4月1日、パート社員ら非正規社員と正社員との格差是正を求める改正パートタイム労働法が施行された。両者の待遇の差は広がる一方だったが、同法の施行によって、仕事内容と責任の重さが正社員と同じで、異動や転勤もあるパート社員に対する差別待遇が禁じられるようになった。「同一労働、同一賃金」を掲げるだけでなく、正社員への転換を促進する措置を設けることも企業に義務づけたのである。

 これまで非正規社員を保護する法整備は大幅に遅れ、正社員とまったく同じ条件で仕事をしているのに非正規の賃金は半分以下というケースが常態化していた。だが、今回の法改正に伴い、労働力の大半を非正規に依存していた小売業界や外食産業も人事制度を改めざるを得なくなってきたのだ。

 雑貨販売大手のロフトでは、同法の施行に備え、この3月から無期限契約を希望する契約社員とパート社員の2350人を正社員にする方針を打ち出した。同制度には、従業員の定着率と意欲を高める狙いもある。吉野家では08年6月をめどに、パートを転勤がない地域限定の社員にする制度を導入する。1年後には全正社員の約3割が地域社員になる見込みだ。

 日本経済新聞社の調査によれば、同法の施行を控えてイオンや高島屋、日本マクドナルドなど主要38社のうち74%が正社員への登用制度を導入していることがわかった(08年3月26日付)。正社員への登用は、深刻化する人手不足の解決策としても期待されている。だが、正社員並みの仕事内容と責任を持たされているパートの比率は全体的に低いため、同法が施行されても正社員の数が劇的に増えるわけではない。厚労省の外郭団体が実施した調査によれば、「正社員並みパート」の比率は全体の5%にすぎないからだ。

 残りの95%は、仕事内容や責任の重さが正社員と同等ではない、転勤も異動もない「普通のパート」である。改正パートタイム労働法は、彼ら「普通のパート」に対しても、「時給一律○○円」といった賃金ではなく、経験や能力を勘案することや、教育訓練の機会を与えることなどを求めているが、この部分は努力義務である。

 パートタイマーの多くは、育児や介護のために、時間の自由のきく「普通のパート」を選んでいる(もしくは選ばざるを得ない)。正社員に移行して時間の自由度がなくなると、掛け持ちのパートができなくなり、「かえって収入が少なくなるのではないか」と懸念する声もあがっている。

 かたや、企業にとって正社員への登用は人件費を圧迫する。とはいえ、同法に違反すれば、1件につき10万円の過料が課せられる。30人のパートを雇っていれば、300万円の過料に処せられるのだ。大企業ならともかく、業務の大半をパートに依存する中小や零細企業にとっては深刻な経営課題になるだろう。正社員との格差是正や差別待遇の禁止は大いに推進すべきだが、正社員化への動きがどこまで徹底されるか疑問が残る。

(福本博文 ふくもと・ひろふみ=ノンフィクション作家)


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