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これからどうなる?−私はこう思う。
岐路に立つ法科大学院
2008.08.25 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 政府は、裁判員制度の導入など国民に身近な裁判をめざして司法制度改革を進めている。その一環として、法曹(裁判官、検察官、弁護士)を大幅に増やす計画を立てた。法曹増員の要(かなめ)として2004年4月に法科大学院を開校し、2010年までに司法試験合格者を毎年3000人増やす見込みだ。

 当初は、法科大学院さえ修了すれば、医師国家試験のように受験者の大半が合格するとされていた。このため、各大学が相次いで法科大学院を設置し、法曹をめざす学生が続々と入学していった。ところが、新司法試験の合格率は4割程度で、当初目標にしていた7〜8割には及ばなかった。法科大学院の乱立が、質の低い学生を生み出すようになったのである。

 10年後の18年には法曹人口が倍以上の5万人に膨れ上がる予定だったが、ここにきて増員計画の変更を求める声が出てきた。日本弁護士連合会(日弁連)が「法曹人口の急激な増大は、司法制度の健全な発展をゆがめる」などと増員のペースを落とすように求める緊急提言を出した。司法試験合格者が大幅に増えると、法曹全体の質が低下するというのだ。それだけではない。弁護士事務所への就職が困難になったり、弁護士一人当たりの仕事が減る恐れがある。事実、日弁連のアンケート(08年4月〜5月に実施)の結果によると、弁護士志望の司法修習生の約25%が就職先未定だという。

 このような状況のもとで、法科大学院の人気が落ちてきた。今年度入試の志願者数と倍率は、新制度導入後、過去最低を記録したのだ。志願者は前年度比5652人減の3万9555人で、倍率は前年度の7.8倍から6.8倍に低下。社会人経験者が占める率も、前年度より2.3ポイント下がったのである。定員割れした法科大学院も目につく。充足率が80%未満の大学院は全74校中16校で、昨年度より10校増えてしまった。 保岡興治法相は、事態を深刻に受け止め、「合格実績の低い法科大学院はやめるか統廃合すべきだ」と表明した。

 法科大学院は、年に20万人以上の法曹を誕生させるアメリカのロースクールをモデルにしたものだ。受験技術中心だった司法試験制度を改め、幅広い知識を身につけた法律家を育成する狙いがあった。だが、合格率を高めるため、新司法試験対策に偏ったカリキュラムを実施する法科大学院が目立つようになった。なんのための法曹養成か。そもそもの理念が忘れられようとしているのである。

(福本博文 ふくもと・ひろふみ=ノンフィクション作家)


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