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これからどうなる?−私はこう思う。
「追加経済対策」に意味はあるのか
2008.10.31 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 日経平均株価が急速に回復しつつある。米欧の金融不安が落ち着きを見せつつあり、円の独歩高が緩和に向かっているのを感じ取っているからだ。それでもなお、日経平均の株価純資産倍率(PBR)は解散価値を辛うじて上回る1.06倍(30日現在)。いちがいには比較できないが、2000年以降はほぼ1.3〜2倍強、03年4月に7600円台をつけた際でも1.2倍弱だったことを考えれば、現在はまだ割安水準にある。当面は、売られすぎた分が買い戻される動きになりそうだ。

 ただし、下ぶれリスクもある。今後の景気動向や企業業績もさることながら、日本の場合、最大のネックは政治である。「ダボス会議」を主宰する世界経済フォーラムが10月に発表した08年版「国際競争力報告書」によると、日本の総合順位は、134カ国・地域中9位だった。これは前年の8位より1ランクほどの後退だが、問題はその中身だ。「生産工程の洗練」(1位)、「技術革新能力」(3位)など民間部門は総じてトップクラスだが、「政府債務の水準」(129位)、「政府のムダ遣い」(108位)など政府部門が極端に悪いのである。

 30日に発表した「追加経済対策」は、まさにこのデータを“実証”しようとしているように見える。なかでも総額2兆円の給付金支給が注目を集めているが、残念ながら効果があるとは考えにくい。すでに日本の国民は1500兆円の金融資産を持っている。にもかかわらず内需が盛り上がらないのは、誰もが日本の将来に不安を覚えているからにほかならない。その資産が1502兆円に増えたところで、事態が変わるだろうか。150万円の貯金のある人に、これで何かを買ってくれといって2000円を渡したとして、150万円を切り崩してまで物を買おうという動機づけになるとはとても思えない。むしろ2000円の出所を疑い、どこかでそのツケが回ってくるのではないか、と今まで以上に財布の紐を締めるのが常識的な判断というものではないか。

 実際、この原資としては赤字国債を発行しないで、いわゆる“埋蔵金”を使う方針だ。しかし、これはもともと国債の償還に充てる予定の費用だった。つまり返済を先送りするだけで、結果的に国民負担となることに変わりはない。将来の金利分を考えれば、2兆円以上の支払いになるはずだ。しかも3年後をめどに、消費税率の10%程度への引き上げも検討するという。消費税を1%上げることによる税収は年間約2.5兆円とされているから、5%増で、国民は12.5兆円の負担増になる。

 増税の是非はさておいて、日本人にとって最大の不幸は、こうした“バラマキ”に対する批判・反対論が国内外に少なからず存在するにもかかわらず、それに代わる具体的な成長戦略を代弁する政党が皆無であるという現実である。このままでは、やがて行われる総選挙の結果がどうであれ、日本経済はますます政府に足を引っ張られる一方、ということになりはしないか。

(島田栄昭 しまだ・よしあき=『日本の論点』スタッフライター)


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