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これからどうなる?−私はこう思う。
モンスターペアレントは減らせるか?
2008.11.27 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 何につけ理不尽な要求をつきつけてくるのは、購入した商品に対して難癖をつけるクレーマーだけではない。教育現場でも、学校側に身勝手で不当な要求をつきつける“モンスターペアレント”と呼ばれる保護者たちの存在が問題になっている。そこで東京都教育委員会は、11月17日に全国に先駆け、モンスターペアレント対策として、トラブル解決に取り組む専門部署を09年度から設置する方針を固めた。

 都教委の実態調査によれば、07年度に持ち込まれた保護者からの解決困難な要求は、小学校の約9%、中学校の約9%、都立高校の約15%で確認され、現場の教師から救いを求める声が上がっていた。解決困難なケースとは、「理不尽な要求等が繰り返し行われている」「学校での対応には時間的・精神的に限界がある」という2点に該当するものをさす。

 実際にどのような要求があったのか。公立の幼稚園、小・中学校では、次のような事例が報告された。学級担任の教師が、いじめをしている児童を指導したところ、その保護者が担任に対し、恐喝や脅し等の言動を繰り返すようになった。家庭で起きた保護者の児童に対する虐待行為を児童相談所へ通告したことで、保護者が学校に対して暴言を繰り返すこともあった。

 学校側が最初の対応をまちがえると、モンスターペアレントの要求は、ますます理不尽になっていくことが多い。たとえば、いじめの被害にあった子どもの親が担任教師に相談をしたところ、「お宅のお子さんにも問題がある」と言われ、大きなトラブルに発展した。このことに腹を立てた親は、学校、教育委員会に執拗にメールやファクシミリで言いがかりをつけるようになったのだ。

 親同士の世間話からトラブルに発展するケースもある。ある保護者会の席で、欠席していた保護者の子どもの問題行動が話題にのぼり、担任が笑いながら同調すると、凄まじい事態が待っていた。あとからその話を聞きつけた件の保護者が、学校や担任の自宅に対して、昼夜を問わず抗議の電話をかけ、さらに損害賠償を要求してきたのである。

 都立高校では、保護者と生徒のトラブルなど家庭内の問題や、授業料等の徴収に際して脅しまがいの言葉を学校に浴びせて徴収を逃れようとする学費の未納問題など、学校だけでは解決することが困難なケースが多い。さらに、運動場から飛んできた野球のボールが近隣の窓ガラスを割った場合など、学校施設に対する地域住民からの苦情も目立つ。物理的に改善が不可能な場合も多く、いずれも学校だけでは対応が難しいと報告されている。

 都教委によれば、モンスターペアレント対策の専門部署「学校問題解決サポートセンター」(仮称)は、トラブル解決に向けたノウハウを開発して、各区市町村教委や学校に提案したり、具体的な事例についても助言する。深刻なケースに発展すれば、同サポートセンターの担当者が、学校、保護者双方から意見を聞き、場合によっては弁護士、警察OB、臨床心理士など専門家の手を借りるなど、調停的な機能を持つことも想定している。

 福岡県では、保護者の虚言をきっかけに、担任の教師が身に覚えのない児童への体罰などをめぐって職務停止処分となるだけではなく、保護者から裁判を起こされた事例がある。もはや、校長や教育委員会では、現場の教師たちを守りきることができない時代になったのである。

(福本博文 ふくもと・ひろふみ=ノンフィクション作家)


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