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これからどうなる?−私はこう思う。
ますます増える? 中高年相手の結婚詐欺
2010.03.11 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 昨年、埼玉と鳥取で起きた男性不審死事件では、捜査が進むにつれ、容疑者の女の周辺から、何人もの男性たちの変死・不審死が、次々と明るみに出るところとなった。いずれも30代半ばの女が、中高年の男性を相手に金を騙し取っていたものだが、不思議なのは、とりたてて美貌を売りにしていたとは思えない女性たちに、大勢の男たちが簡単に騙されたことだ。現在、鳥取の事件では、元スナックホステス・上田美由紀容疑者(36歳)が、容疑の固まった2件について強盗殺人罪で起訴および再逮捕され、埼玉の事件でも、木嶋佳苗容疑者(35歳)が殺人罪で起訴されている。

 とくに木嶋被告のケースでは、日本社会が抱える今日的な問題が透けて見える。  木嶋被告は、以前にも、詐欺や窃盗の容疑ですでに計6回も逮捕・起訴されている。いずれも嘘の結婚話を持ちかけて金を騙し取ったものだ。ほかにも「訪問ヘルパー」を名乗って80歳の男性宅に出入りし、介護を装いキャッシュカードで勝手に現金を引き出したり、70歳の男性には「学費の援助をしてくれたら、老後の世話をする」と持ちかけて7400万円もの大金を振り込ませていた。被害者のほとんどは、結婚のチャンスがなかったり、配偶者を亡くした一人暮らしの中高年男性だ。婚期を逸して孤独をかこつ、老後に焦りや不安を感じる男たちに、パスタ料理の腕を振るい、甲斐甲斐しく掃除・洗濯をこなしてみせる――逮捕直前まで彼女と同居していた男性(46歳)は、自分が騙されているとは、つゆとも思わなかったという。

 もうひとつの特徴は、犯行の手段としてインターネットを巧みに利用している点だ。木嶋被告は婚活サイトに、「おいしい手料理で愛情を伝えたい」「尽くすタイプの女性と言われています」と、男心をくすぐる言葉でプロフィールを載せ、ターゲットになりそうな男性を自分のブログに誘い込んでいた。ブログでは、手作りの料理の写真をはじめ、高級レストランでの食事、有名女優御用達の美容室の利用など、「セレブな生活ぶり」を披露し、「育ちの良い、家庭的な女性」であることをアピールしていた。

 出会い系サイトでは、自分の素性を隠したり、架空の経歴をでっち上げて犯罪に悪用する例は少なくない。女性の場合、こうしたネット上の個人情報には一定の警戒心が働くが、結婚したいと思いながらも機会に恵まれなかった生真面目な中年男性は、結婚相談サイトの情報を無防備に信じ込む傾向がある。

 犯罪学・社会学の研究を続けてきた谷岡一郎・大阪商業大学教授によれば、こうした男性は、「最初に狙いを絞っているからルックスやスタイルは問題ではない。好意を持った女性が『結婚したい』と言ったら、『信じる』というより『信じたい』という気持ちになる」のだと分析する(産経新聞2010年2月3日付)。

 高齢社会が進行するにつれ、経済力はそこそこあるのに、老親を抱えたため結婚できずにいる中高年男性はますます増える。ということは、巧妙な手口で言い寄る女性結婚詐欺師もまた跋扈(ばっこ)する。

 結婚詐欺というのは、本人が被害者だと名乗り出ないかぎり、立件しにくい。恋愛中の男女間では、金の貸し借りなど日常茶飯のことだ。女性に貢ぐだけ貢がされて、周囲が「あなたは騙されている。被害届を出しなさい」といったら、「そんなことをしたら彼女が戻って来なくなる」と答えた男性がいる。その意味では、さきの事件は氷山の一角といえる。

 詐欺師は若い女性とは限らない。67歳の男性が、結婚相談所を通じて知り合った72歳の女性に金を騙し取られた例もある。「あなたの老後の面倒をみさせてください」「死に水をとってあげたい」「あなたのお母さん(お父さん)のお世話をします」などの甘い言葉には、くれぐれもご用心あれ。

(岩城真太郎 いわき・しんたろう=『日本の論点』スタッフライター)


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