12月24日、政府は臨時閣議で2007年度の予算案を決めた。一般会計総額は82兆9088億円で、前年度比4.0%増。歳入のうち、税収は16.5%増の53兆4670億円で、6年ぶりに50兆円台となった。政策に使う一般歳出は1.3%増の46兆9784億円で、3年ぶりに増加した。
07予算案の特徴は、景気の拡大による法人税収の増加と、定率減税の廃止で所得税が1兆2000億円増えたことによる7兆6000億円の大幅な税収増である。この税収増に支えられて、新たな借金となる新規国債の発行額は、過去最大の減額となる25兆4320億円(4兆5410億円減、15.2%減)。このうち歳入不足を補う赤字国債(特例公債)は4兆2880億円減の20兆2010億円で、6年ぶりの低い水準になった。
安部首相のスローガンは「成長なくして財政再建なし」、つまり高い経済成長を実現すれば税収も増え、財政再建につながるといういわゆる「上げ潮」戦略を経済財政運営の基本方針としている。しかし今回の予算案では、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は、4兆4332億円となり、06年度の11兆2114億円より約6割縮小したものの、累積した赤字国債の発行残高は、06年度末より約16兆1000億円増の306兆4000億円となり、初めて300兆円台を突破した。国債依存度も30.7%と、財政悪化に歯止めがかかっているわけではない。また、07年度末で全体の国債発行残高は547兆722億円に達し、GDP比104.8%、国民一人あたり428万円の借金を抱えることになる。さらに国と地方を合わせた長期債務残高は、07年度末で前年度比6兆円増の773兆円に膨らみ過去最大となる。
もうひとつの特徴は、一般歳出が3年ぶりに増加に転じたことだ。これは、政府の成長戦略や高齢化への対応など、歳出増圧力が高まったことによる。歳出規模で一番大きいのは、全体の45%を占める社会保障関係費で、2.8%増の21兆1409億円と過去最高を記録した。逆に、公共事業関係費は3.5%減の6兆9473億円と6年連続で減少、建設国債はピーク時の94年度の10兆5092億円から半分の5兆2310億円となった。いっぽう、地方選、参院選を意識した歳出増も目立った。たとえば地方の活性化対策として、中小企業対策費が0.6%増の1625億円となった。また、安倍カラーを出すため、「教育再生」関連の教育政策経費を4.2%増やしたのが目を引いた。
さらに注目したいのは、消費税の引き上げや道路特定財源の一般財源化を軸とした歳入改革が先送りされたことだ。総額4100億円の法人税減税が盛り込まれるいっぽう、定率減税が完全に廃止され、家計の負担増は避けられなくなった。これに対し、政府は、減価償却制度の拡充は企業に減税効果を生み出し、それが景気拡大につながることで賃金が上昇し、家計の負担増は吸収されると説明している。このほか、焦点のひとつだった地方交付税の削減は、選挙に配慮した自治体、議員の強い反発で見送られ、逆に交付金は3732億円増となり、地方の歳出改革は棚上げされた。
07年度予算案について、野口悠紀雄早稲田大学大学院教授は、「税収が伸びたのは、景気が回復したからであり、それは主として外需による。つまり、政府が主体的に行動したから国債の減額できたのではなく、他力依存でそうなっただけのことだ。財政構造の基本的な見直しは、すべて先送りされている。財政健全化に近づいているどころか、破滅への道を着実に進んでいるというのが実体である」と厳しく批判している(東京新聞12月21日付)。
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