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はしか大流行
2007.05.24 更新
 はしかの流行で、5月21日、約5万5000人の学生を擁するマンモス大学、早稲田大学が全学休講の措置(29日まで)をとった。「はしかにかかったようなもの」とのいい方があるように、かつては5〜6歳児までの乳幼児期特有の伝染病だったのが、最近では、東京を中心に若者たちが罹患している。首都圏の大学の休講は23日現在、日本大学(約2万7000人)、中央大学(約2万7000人)などすでに10校を数える。

 はしかとは、麻疹ウイルスによる急性伝染病で、全身に発疹、口の中には白い斑点(コプリック班)が出るのが特徴。39度近い発熱と、のどの痛み、せきが出る。通常は7〜10日で回復するが、重症化すると、脳炎や肺炎などを引き起こし、2、3000人に1人の割合で死亡する。一度罹患すると、ほとんど一生、免疫を得る。

 はしかは、感染症法によって基幹定点医療機関(全国約450カ所)による厚生労働省への定期的な報告が義務づけられている。国立感染症研究所によると、13日現在、15歳以上の成人の患者は1週間(7〜13日)で53人と前週の25人から倍以上に急増、ピークの週に54人だった2001年以来の大流行が裏付けられた。累積数は201人で、01年は約3万人を記録した。ことしは10〜20歳代の患者が多いのが特徴で、小児はほぼ例年並みだ。

 感染力の極めて強いはしかの予防にはワクチン接種が有効とされる。1989年には、はしか、おたふくかぜ、風疹を予防する新三種混合(MMR)ワクチンの接種が導入された。しかし、無菌性髄膜炎といった副作用が出ることがあり、死亡や重度障害の事例が相次いだことから、93年に中止された。なお、05年の厚生労働省の調査によると、はしかのワクチン接種率は、2〜19歳が95%以上、20歳代が88.6%、30歳代85.0%、40歳以上52,3%。

 大学などでの集団感染の原因については、接種率の上昇ではしかの流行が激減し、免疫が増強される機会が減ったことや、「感染から発疹ができるまでの潜伏期間に患者が広範囲に行動し、感染を広げた可能性が高い」(安井良則感染研主任研究員・読売新聞5月18日付)。また、清水恵一郎阿部内科院長(東京・目黒区)は、「予防接種の切り替わりで集団接種が個別接種になり、接種率が下がった」と、ワクチンの予防接種が94年に「義務制」から「任意制」に切り替わったことが要因のひとつだと指摘(東京新聞5月18日付)している。

 日赤医療センター小児科の薗部友良部長は、若者に流行していることについて、「ワクチンを1回接種しても免疫がつかない人が3%、免疫ができても4〜5年後以降に消える人が5〜10%いる。感染の可能性がある人が5〜7%以上あれば流行はいつでも起こり得る」という(東京新聞同上)。いっぽう、ワクチン不足が心配され出した。4月末からの需要増で、16日現在、はしか・風疹混合ワクチン(MRワクチン)を含めた在庫は約45万本あったのが、21日夜には約22万本に半減した。厚生労働省は18日、こうした品薄状態を未然に防ぐため、ワクチンの適正使用を全国の医療機関に通知した。

 米国など欧米先進国のはしかの患者数は毎年数十人どまりだ。これは、1歳児と、小学校入学の条件に予防接種を課すなど、2回接種の対策をとっているからだ。日本も昨年4月から公費で2回接種する体制を導入した。なお、01年の大流行のとき、米国は、日本人旅行者がはしかウイルスを持ち込むことを恐れ、「日本は、はしかの輸出国」と批判したことがある(読売新聞5月21日付社説)。


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