7月16日、新潟県柏崎市を中心に震度6強の「中越沖地震」が発生、70歳以上の高齢者ばかり10人が犠牲になった。うち7人は老朽化した瓦葺きの木造家屋が倒壊し下敷きとなって死亡。原因は、低層の木造家屋と共振して家屋の倒壊を招く地震波「キラーパルス」だった。
キラーパルスとは、揺れの往復である周期が1〜2秒しかかからない比較的短い地震波で、壊滅的な被害をもたらした「阪神淡路大震災」(1995年1月)や、「新潟県中越地震」(2004年10月)、「能登半島地震」(07年3月)でも観測された。東京大学地震研究所の解析によると、キラーパルスの揺れで壊れ始めた木造家屋に、周期2〜3秒の地震波が加わり、とどめを刺すかたちで倒壊被害が広がったという。
消防庁がまとめた被害状況は、19日現在、死者10人、負傷者1313人、全壊家屋は949棟、半壊258棟、一部損壊3590棟、避難者数4064人に及んだ。さらに軟弱な地盤も建物の被害を広げた。新潟大学災害復興科学センターによると、柏崎市周辺は、粘土と砂が多い堆積層からできていて、地震の揺れが増幅されて波打ったり、地下水位も浅く液化現象が起きやすい地盤という。
犠牲者を出した家屋は、現在の耐震基準が導入された81年以前に建築されたもので、柏崎市の耐震診断事業や耐震補強工事助成の申請をいずれも受けていなかった。また、倒壊した家屋はみな1階部分がつぶれており、現場を視察した耐震構造に詳しい五十田博信州大学准教授は「積雪に耐えられるよう屋根瓦やハリなど、上部が重いことに加え、窓が大きく、建物を支える壁の面積が小さかった」と指摘している(読売新聞7月18日付)。
震源地は、日本海の海岸線に沿って大小の断層が散在する長岡平野西縁断層帯に近い場所で、地震のメカニズムは、深さ約17kmにあるプレート(板状の岩盤)の浅いところで断層が北西と南東から圧縮されてずれ、一方の地盤の上にもう一方がせり上がる逆断層タイプ。3年前の中越地震に非常に良く似ている。
中越沖地震の震源から約220km離れた東京・六本木の高層ビルでは、16日、エレベーターが数秒から10数秒の周期でゆっくりと大きな揺れが続く「長周期地震動」を感知、非常停止した。地震波の周期が長いほどエネルギーが減衰しにくく、超高層ビル、免震ビル、長大橋などの大型構造物が共振しやすい。
政府の地震調査委員会(委員長・阿部勝征東京大学名誉教授)は、17日に開いた臨時会で、中越沖地震の発生には、日本海東縁部の「ひずみ集中帯」(サハリンから兵庫県付近まで帯状でつながる地域)と呼ばれる、エネルギーのたまりやすい構造が関係しているとの評価結果を公表した。大規模地震はこの東縁部でこれまで7回起きており、ここ14年間で4回発生している。
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