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四川大地震
―拡大する被害―
2008.05.19 更新
 5月12日、中国四川省を中心に襲ったマグニチュード7.8の大地震は、日を追うごとに被害が拡大している。発生から7日目をむかえた18日の中国政府の発表によれば、省内だけでも死者数は3万1978人、負傷者数は20万9905人にのぼり、いまだ約9500人が生き埋めになったままだという。また、同日、地震の規模をしめすマグニチュードが、当初の7.8から8に上方修正された。マグニチュードが0.2大きくなると地震のエネルギーは約2倍になり、マグニチュード8を超える地震は、「巨大地震」とよばれるという。

 地震発生当初、諸外国からの援助隊派遣にたいし、「当面必要ない」として拒否の姿勢をしめしてきた中国政府だったが、15日、日本への援助隊要請を皮切りに、ロシア、韓国、シンガポールからの国際緊急援助隊を受け入れた。だが、日本からの第一陣が被災地に到着したのは、生き埋め被害者の生存率が急激に下がるとされる、72時間を過ぎたあとだった。18日現在も救出者は出ているが、日本の援助隊は、いまだ生存者の救出にはいたっていない。

 1000万人にのぼるとされる被災者は、道路の復旧にめどが立たず、食糧や衣料品の輸送、救援活動が難航しているため、長期戦を余儀なくされている。地震発生後、マグニチュード4を超える余震が計150回近く発生しており、余震による家屋倒壊で死亡した被害も報告されている。また、地震による土砂崩れが河川でせきとめられた、「土砂崩れダム」の決壊も懸念されている。16日におこった決壊では、住民があらかじめ非難していたため人的被害はのがれたが、今後、降雨や大きな余震がおこれば、山崩れや土砂崩れにつながり、甚大な二次災害を引きおこす恐れがある。このほか、負傷者が壊疽(えそ)をおこしたり、飼い主を失い野放しになった犬による狂犬病など、伝染病のまん延を危惧する声もあり、政府の防疫対策が急がれている。

 北京五輪の聖火リレーについては、中国政府が19〜21日の3日間を「四川大地震犠牲者の全国哀悼日」と決めたことにともない、北京五輪組織委員会は、この3日間のリレーを中断することを発表した。当初からインターネット上では、「たくさんの生命が一瞬にして失われた非常事態に聖火リレーをすれば、世界から中国は変な国だと思われる」「リレーは中止し、費用を支援にあてるべき」など、批判的な書き込みが多数みられたが、組織委員会は、イベントを簡素化、スタート前に黙祷をささげるなどして、リレーを続行させていた。

 被災者をはげまし、救助隊の指揮を執る胡錦濤主席、温家宝首相の姿がひんぱんにテレビ放映されるなど、中国首脳陣は国民の団結力を高めようと、異例といえるほどのメディア露出の策をとった。しかし、援助隊の要請にしろ、聖火リレーの中断にしろ、中国政府の対応がことごとく後手にまわった点は否めない。都市型災害を得意とする日本の援助隊にしても、はじめは山間部へ案内され、これでは力が発揮できないと場所をかえての救出作業となり、時間のロスをまねくことになった。被災地入りした胡錦濤主席を映し出すテレビ放映にたいし、中国のインターネット掲示板には、「指導者の動静より、被災状況を伝えろ」などとの書き込みがみられ(産経新聞5月19日付)、地震被害が拡大するにつれ、中国政府にたいする不満が蓄積されているかっこうだ。四川省は、チベット自治区をのぞけば、チベット族がもっとも多く居住する地域である。だが、緊迫したチベット暴動の直後にうけた大地震において、チベット族がどのような対応をうけているのか、詳細は明らかになっていない。地震被害が一段落すれば、北京五輪をまえに、中国政府の危機管理能力が、世界からあらためて問われることになりそうだ。


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