大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が11日、合同記者会見を開き、国土交通省が計画中の大戸川(だいどがわ)ダムについて建設中止を求める共同意見を発表した。4知事が歩調をそろえる異例の展開に、国のダム計画は大きな見直しを迫られることになった。
大戸川ダム(滋賀県)は、淀川水系の河川整備計画に盛り込まれているダムの一つで、1978年に多目的ダムとして計画された。淀川水系で建設が予定されているダムは、大戸川ダムのほか、丹生ダム(滋賀県)、川上ダム(三重県)、天ヶ瀬ダム(京都府)の計4カ所あるが、これらの建設計画をめぐっては、生態系の保全などを訴える環境派と、洪水対策を求める治水派とのあいだで長年にわたり対立が続いていた。
1997年の河川法改正により、国の河川整備計画は環境重視の方向へ舵を切った。同時に、流域住民の意見も取り入れられるようになり、淀川水系では近畿地方整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」が住民と国との橋渡しを担ってきた。同委員会は去る9月、「4ダムの建設計画は不適切」という内容の最終意見書を策定、4知事の共同意見は、これを踏まえたものである。
この問題に対する知事たちの立場は、それぞれに異なっている。滋賀県の嘉田由紀子知事は、「ダムは劇薬で、ほかに方法がないときの最後の手段」というのが持論で、大戸川ダムの凍結・見直しは知事選に立候補したときの公約の一つだった。いっぽう、河口に位置する大阪府では、ダム建設賛成派が多く、橋下徹知事は最後まで歩調をそろえることを躊躇していた。今回、合意が可能になった最大の理由は、総事業費1080億円のうち230億円を負担することになっている大阪府の財政難である。
9月には熊本県知事による川辺川ダム建設反対表明があったばかりで、国土交通省はこうした動きが今後もつづくことを懸念している。そもそもダム建設は長い年月をかけて計画されるものであるから、その途中に必要性が減退するものもあるし、環境保全に対する考え方が変わることもある。国交省の内部にも、ダムに代わる治水を模索する動きは出ており、中止を求める住民との合意はかならずしも不可能ではない。
では、なぜ合意が困難なのか。「役人の命は『予算確保』だ。ムダ遣いでもいいから予算を消費したがるものだ」(朝日新聞11月12日付)と、京都大学の今本博健名誉教授(河川工学)が指摘するように、「決めてしまった事業を中止することはできない」という官僚の習性こそが、ダム問題をこじらせる大きな要因なのである。
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