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論争を読み解くための重要語
ペットロス
2008.11.27 更新
 元厚生次官宅襲撃事件の小泉毅容疑者は、ペットを保健所に殺された恨みが犯行動機だと述べている。小泉容疑者の父親は、たしかに小学生時代に飼い犬が保健所で殺処分され、落胆したことがあったと述べているが、30年以上前のペットロス体験が襲撃の原因になることがあり得るのか。

 ペットロスとは、かわいがっていたペットを失うことによって、精神的に大きなショックを受けることをいう。愛するものを失う、喪失体験のひとつと考えられており、気分が落ちこみ、虚脱感や無気力、不眠などのうつ症状が現れたり、過食・拒食などの摂食障害が起きたりする。

 愛するペットを失った悲しみからこのような反応が起こるのはむしろ当たり前といえる。これがさらに進んで、うつ症状などがひどくなると、ペットロス症候群という病的な状態に陥ることになり、最悪の場合は自殺にいたるケースもある。

 海外では広く知られていたペットロスが日本でも話題になってきたのは、10年ほど前である。バブル経済期にペットブームが最高潮を迎え、そのころに飼われたペットが高齢に達してきた時期にあたる。ペットの死によって気分が落ちこんでいても、「たかがペットのことで」などと周囲から理解されないことが、心の傷をより深くする。そのため一部の獣医師などが認識の普及につとめてきた。

 事故死や保健所での殺処分などの急な死亡や、動物病院での処置に疑問がある場合、他にも心の問題を抱えている場合などに、ペットロスが重くなりやすい。今回の事件の犯人がこのケースに該当するのかは判然としないが、動物愛護のボランティアとして熱心に活動していた時期もあるようで、ペットロス体験がいまも尾を引いていることは考えられる。

 いずれにせよ、ペットロス症候群が一般に考えられているより深刻なものであることはたしかである。このような人のために、心理カウンセラーなどが電話相談窓口を設置して心のケアを行っているほか、インターネットでの自助グループも数多くつくられている。


関連論文

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私の主張
(2008年)ペットは薄れゆく家族の絆を取り戻すための理想の存在である
山田昌弘(東京学芸大学教授)
(2008年)動物は人間の所有物ではない。「ペットは家族」の陰の部分に理解を
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(2004年)命の大切さを説きながら年五〇万頭の犬猫を殺処分する日本人の意識
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議論に勝つ常識
(2008年)[ペットブームについての基礎知識]
[基礎知識]なぜ子どもの数よりペットのほうが多いのか?
(2004年)[ペットブームについての基礎知識]
捨て犬、捨て猫防止に決め手はあるのか?



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