3月8日、東京都内に住む男性(35)が、家賃を約1週間滞納したという理由で部屋の鍵を勝手に換えられたうえ、家財道具も撤去されたとして、不動産会社(東京都新宿区)の元代表者らに対して、不動産侵奪、住居侵入、窃盗などの容疑で刑事告発した。この不動産会社をめぐってはすでに、強引な家賃回収の被害にあった元借り主ら9人が、計約3400万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しているものの、敷金・礼金なしで借りられる賃貸物件「ゼロゼロ物件」をめぐる刑事告訴としては、全国でも初めてのケースとなった。
「ゼロゼロ物件」は、東京の賃貸アパート大手が約20年前から始めたもので、全国各地に広がった。入居資金が安くあがることから、若者を中心に非正規労働者や外国人が多く利用している。しかしいっぽうで、居住者が修繕費や違約金を求められるなどトラブルが相次いでいる。賃貸の滞納を理由に、ただちに居住者が追い出されてしまうのもそのひとつだ。追い出し行為には、「鍵を無断で交換してしまう」「呼び鈴を30分以上鳴らす」「転居先に業者が押しかける」「他の居住者の目につくところに『家賃を払え』と紙を張り出す」などといった例が報告されている。
今回のケースは、通常の賃貸契約ではなく、「鍵を一時利用する」という特殊なかたちをとっており、家賃の支払いが遅れると、貸し主が独断で鍵を交換し、荷物を処分したうえで、違約金を支払わせるという内容の契約を結んでいた。被害対策弁護団は、「他にも同様の被害が報告されており、強く警鐘を鳴らすために、刑事責任を追及するべきだと考えた」と話している。(読売新聞3月9日付)
また、連帯保証人を立てられない借り主から保証金をとって、家賃滞納の際の立て替え契約を結ぶ家賃債務保証会社が、こうした追い出し屋や取り立て屋に変身するケースも増えている。国土交通省はそのような保証会社が全国に約100社あるとみているが、いまだ実態は明らかにされていない。
そもそも借家人は、明け渡し訴訟などの法的手続きによらなければ、わずかな家賃滞納では追い出されることはない。しかし、現在のところ、家賃取り立てや追い出し行為を直接に規制する法律がないため、このような強引な手法をとる業者は野放し状態となっている。
今回の刑事告訴について不動産会社側は、「コメントすることはない」としている。(同上)
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