文部科学省が就職協定の復活を検討し始めている。3月12日に開かれた企業団体と大学団体が就職活動について意見交換する会合で、塩谷立文科相が、「学生の就職活動が早まっている。就職協定のようなものができないか探りたい」と発言、企業側からの反発を招いた。文科相は17日には、「必ずしも就職協定の復活にこだわらない」との考えを示すいっぽうで、「どう実効性を高めるか、何ができるかを大学と企業が互いに考える必要がある」と強調した。
就職協定とは、卒業見込み者の就職にかんして、企業側と大学側のあいだで結ばれる協定のこと。ほかの企業よりも学卒者を早く確保したい企業側と、学生にはあくまでも学業に専念してほしいとする大学側との意見を調整し、採用活動の開始時期などを決定する。
就職協定はもともと1953年に、大学と業界団体および関連省庁からなる就職問題懇談会が、学生の推薦開始を大学4年次の10月1日以降にすると合意したことから始まる。その後、高度成長期にともなって、いわゆる「青田買い」が横行したために、協定は意味がないとして62年にいったん廃止されたが、廃止と同時に「青田買い」がさらにエスカレートしたことから、73年に復活した。協定の内容は年によって異なるが、96年までは、会社訪問解禁日が7月1日、採用選考開始が8月1日前後、採用内定開始が10月1日と決まっていた。
ただし、就職協定には法律による取り決めがなく、罰則も存在しないため、企業による「協定破り」が相次ぐこととなった。そして、協定はもはや形骸化したとの声が高まった結果、97年1月、24年ぶりに廃止された。97年以降は年を追うごとに就職活動が早まる傾向にあり、いまでは大学3年次の秋ごろからスタートするのが通例となっている。
こうした「採用自由化」によって、学生側からは大学を「就職予備校」とみなす向きがしだいに強まり、大学側もそうした学生のニーズに合うカリキュラムを組むようになった。一部の学生が、内々定をむやみにたくさんもらうといった問題も生じている。しかし、協定を復活させても、こうした状況が改善されるという保証はない。企業側が再三指摘するように、過去の経験からみて協定の形骸化は避けられないからだ。
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