民主党の政治改革推進本部(本部長・岡田克也副代表)は、国会議員の世襲を制限する党の内規をつくり、次期衆議院選挙のマニフェストに盛り込むことを決めた。具体的には、現職議員が引退後、同じ選挙区から3親等以内の身内が出馬するときは、党は公認しない。
世襲議員は、代々地盤、看板、カバンという「3バン」を身内から継承し、新たな人材の参入を拒んでいるといわれてきた。地盤は後援会組織、看板は知名度、カバンは資金だ。民主党はこのうち、資金、つまり資金管理団体の継承を禁じる政治資金規正法改正案を提出することで法的に禁止する方針だ。地盤、看板については、法的に禁止することはできないので、党の内規で制限する。
これに対して、自民党も、菅義偉選対副委員長をはじめ、中川秀直、伊吹文明両元幹事長らが世襲制限に同調する姿勢を見せたが、閣僚からは異論が続出した。森英介法務大臣が「大正13年から私の一族で議席をいただいている。世襲だから、ただちにいけないとはまったく不合理な話」(毎日新聞4月22日付)と反論、金子一義国交相も「意味のある議論じゃない」(産経新聞4月22日付)と、自民党内で意見が真ぷたつに分かれた。
党内で意見が分かれた背景には、自民党は世襲議員が全体の3割を占め、ベテラン議員ほどその比率が高いという現実がある。内閣だけをとってみても、首相と閣僚合わせて18人のうち、じつに12人が世襲議員だ。歴代首相もこのところ世襲議員が続き、自民党が政権に復帰した94年から現在まで、世襲でなかったのは森喜郎首相だけ。麻生首相は「被選挙権というものに対して憲法上の話もあろうかと思う。うかつな話はなかなか難しい」(朝日新聞4月24日付)と世襲制限には慎重な姿勢を見せている。
現在、世襲議員の数は、衆議院では、定員480人のうち、131人。このうち自民党がもっとも多く、108人、民主党が16人、無所属3人、国民新党が2人、公明党と改革クラブが各1人となっている。
ただ、傾向としては、世襲議員は減っていて、衆議院選挙の新人候補では、00年で35人、03年33人、05年27人になり、次期衆院選では、15人の世襲議員の立候補が予定されている。94年に中選挙区が廃止され、小選挙区になったことで2大政党化が進み、政党が人材選びに力を入れざるを得なくなったことが、その一因とされている。
「浮き世離れしている」「打たれ弱い」など、世襲議員のデメリットが強調されるいっぽう、肯定意見も少なくない。たとえば、世襲議員は、地盤が安定しているため、地元対策に力をそぐ必要はなく、その分政策作りに専念できる。また身近に身内の先輩がいることで政治家としての訓練を積むことができるというメリットもある。渡辺喜美衆院議員は「いろいろな問題に直面した際、(父親の)ミッチー(故渡辺美智雄氏)だったらどう決断するかと考えると、結論が出やすい」(朝日新聞4月25日付)という。また、父親が衆議院議員(故塩崎潤氏)だった塩崎恭久衆議院議員のように、「二世か否かは関係ない。実力次第」だと、党の公認を獲得するためには「予備選挙」が必要という意見(『日本の論点』2001年版)もある。
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