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北朝鮮のウラン濃縮
2009.06.18 更新
 北朝鮮は、6月13日、ウラン濃縮作業に着手する旨を宣言した。これまで北朝鮮の核開発問題の中心課題は、原子炉におけるプルトニウムの抽出だったが、これで世界は二つの問題に注視せざるを得なくなった。ウランについては、02年に米国が開発を指摘したものの、どこまで進んでいるのか、はっきりしたことは不明だった。だが、今回の表明で、北朝鮮は公けにウラン開発を進めていたことが明かになった。さらに、北朝鮮は声明で「いまや核放棄は絶対に、徹頭徹尾あり得ない。誰が認めようと認めまいと関係ない」と、核を手放す意志がないことを明言した。

 核爆弾には、ウラン型とプルトニウム型があり、広島に落とされた原爆は前者、長崎は後者にあたる。ウラン型の核爆弾をつくるには、ウラン235が必要だが、自然界にはウラン238しか存在しない。そのため、遠心分離器などをつかって、同位体のウラン235を抽出しなければならない。遠心分離器の製造方法は、核保有国の国家機密になっていて、ウラン型の核爆弾をつくる際の一番のネックになる。プルトニウムにくらべて、「つくりづらい」といわれるゆえんだ。しかし、遠心分離器は地下や屋内に設置すれば、衛星などによって偵察される恐れもないため、秘密裏に核開発をおこなうことができるという利点がある。

 これに対して、プルトニウム型の核爆弾に必要なプルトニウム239は抽出しやすく、原子炉でウランを燃やして使用された核燃料棒を取り出し、「再処理」を行うことで得ることができる。またプルトニウム型の核爆弾は、うまく爆縮できるかどうかが重要なため、実験が必要で、その点、他国を威嚇したい場合や、核保有国であることを誇示したいときには、プルトニウム型は有効な開発方法といえる。

 北朝鮮は、74年、国際原子力機関(IAEA)に加盟、85年、核拡散防止条約(NPT)に加盟するいっぽう、ソ連から核技術を取り入れた。NPT下では、平和目的の核利用しか認められていないが、北朝鮮は国際社会の目を逃れてプルトニウム型とウラン型の核爆弾両方の製造を試みてきたことになる。

 07年2月に行われた六カ国協議で、北朝鮮が核計画を放棄し、寧辺(ニョンビョン)の核施設を無能力化する代わりに、他国が経済援助をおこなうという約束が交わされたが、対象になったのはプルトニウムで、ウランは含まれていなかった。その後、北朝鮮がプルトニウム関連の核施設を無能力化したことを受け、米国は08年10月に北朝鮮を「テロ支援国家リスト」から外したが、このたび、その間にもウラン濃縮を進めていた可能性があることがわかった。

 ウラン濃縮に関して、北朝鮮との協力関係が疑われている国がイランだ。イランは、遠心分離器の技術は充分にあるものの、北朝鮮が自国で産出しているような豊富なウラン鉱石や、そこからウランを分離・精製する技術がない。いっぽう北朝鮮は、遠心分離器の技術がない。そこで、両者は、たがいの弱みを補うために接触しているという確度の高い情報もあり、ロンドン国際戦略研究所のマーク・フィッツパトリック不拡散部長は「実態はわからないが、イランは北朝鮮の動きと、国際社会が北朝鮮にどう出るかを注目しているのは確実だ」と、北朝鮮の行動がイランとは無関係でないことを指摘している(読売新聞5月30日付)。

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