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高速水着問題
2009.07.02 更新
 競技者の力か、水着の力か――。08年の北京オリンピックで次々と記録を塗り変えて話題になった高速水着。強力な締めつけを特徴としたレーザーレーサー(LR・英スピード社製)は、着用した選手が次々と世界記録を樹立。北京五輪で誕生した水泳世界記録25の記録のうち、23がLRを着用した選手によるものだった。以来、水着問題は日本競泳界に波及、いまだ決着をみていない。

 日本メーカーもLRに対抗して、水や空気を通さないラバー系素材の水着開発に本格的に乗り出した。その結果、なかでもデサント社製の水着が、4月の日本選手権で13個の日本記録を生み出すなど、めざましい効果を"発揮"、5月10日には、入江陵介選手が200メートル背泳ぎで世界記録を上回る1分52秒86のタイムを出した。

 こうしたあらたな事態を受けて、FINA(国際水泳連盟)は3月、水着の厚さや浮力を制限する新規定を発表し、FINAの認可にもれた水着の国際大会における使用を禁じることにした。これにもとづいておこなわれた5月19日の審査では、348タイプの水着のうち136タイプが再提出を求められた。その大半がラバー系素材で、デサント社製の水着は認可されず、入江の記録も幻となってしまった。デサント社の水着は、素材自体は浮力や厚さの基準を満たしていたが、水着内に空気をためこむ構造が問題視されたといわれる。

 いっぽう、「浮力効果がある」と指摘されていた織物素材のLRは、FINAから認可をうけ、国内メーカーのデサント、ミズノ、アシックス3社の水着はすべて認可されなかった。LRを開発した英スピード社は、FINAのスポンサーを務めていることもあって、審査が不公正ではないかとの不満も出た。

 認可をうけなかった各社は改良を施し、たとえばデサント社は、通気性のあるニット素材を全体の5%ほどに使用などして、6月下旬に認可された。しかし、FINAは来年1月以降、「浸透性のない素材の使用は、全体の50%以下に制限する」など、さらに新しい規定を導入する予定で、国内メーカーは厳しい競争を強いられることになった。

 6月上旬におこなわれたジャパン・オープンで、世界選手権(7月開幕)の代表選手が、FINAの「認可水着」を着用したが、32種目中9種目でラバー系素材(未認可)の水着を着た他の選手に敗れた。日本記録の更新もなく、「水着によるタイムの違い」があらためて明らかになった。

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