温暖化防止の枠組みづくりに向けて、政府は「20年までに05年比15%削減」の中期目標を掲げた。この目標達成のカギをにぎる新エネルギーとして、いま注目されているのが、太陽光発電だ。シリコンなどを材料としたパネルから、太陽の光を吸収、それを直接電気エネルギーに変えることで、二酸化炭素が排出されない。政府は、中期目標達成のためにこの太陽光発電を2020年までに20倍に増やすとしている。
住宅の屋根がわらなどに設置する太陽光パネルなど、太陽光発電が日本で普及しはじめたのは93年ごろからだが、その当時は、発電システムを取り付けるには、費用が約1250万円もかかった。このため94年度からは、補助金を出す制度を創設、以後、徐々に普及し、日本の太陽光発電は、世界でトップレベルの技術を有するようになった。また発電システムが普及するにしたがって、設置にかかる費用は5分の1にまで下がり、発電量も60倍に増えた。ところが、経産省は、発電システムが普及したのをよいことに05年度でこの補助金を打ち切ってしまったため、いまでは、太陽光発電の累計導入量ではドイツやスペインに追い抜かれてしまった。
ドイツで急速に普及がすすんだのは、家庭で太陽発電した電力の余剰分を高い価格で電力会社が買い取ってくれる制度をつくったためで、発電システムの設置費用が高くても、もとが取れるからだ。07年には、ドイツのQセルズが太陽電池の生産量で、それまで首位を走っていた日本のシャープを抜いてしまった。
政府が提出していた「エネルギー供給構造高度化法」が7月1日、きゅうきょ成立したのも、こうした危機感が背景にある。この法律は、各家庭が太陽光で発電・消費した電気のうち、余った分を、いまの2倍の価格で電力会社に買い取らせるというものだ。
現在も、RPS法(新エネルギー利用特別措置法)により、家庭の太陽光発電で余った電力は、電力会社が自主的に買い取っているが、その買い取り価格は、一般家庭に売るときと同じ1キロワット時当たり24円程度だ。発電システムを家庭に設置するには、約250万円の費用がかかり、現在の買い取り価格で余剰電力を売っても、設置費を回収するのに20年以上かかってしまう。これが、新制度では、1キロワット時当たり50円で買い取るように義務づけられるため、 10年程度でもとがとれることになる。
買い取り価格が上がれば、太陽光発電の普及につながるが、その分は、企業や一般家庭の電力料金に上乗せされることになる。経済産業省は、制度開始時は標準的な家庭で月約30円が上乗せされ、5〜10年後は、50〜100円程度になるだろうと見込んでいる。
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