米国ピッツバーグで開かれた金融サミット(20カ国・地域が参加)が9月25日、閉幕し、金融機関に対して新たな規制が設けられることが決定的となった。これによって、日本の金融機関が苦しい立場に立たされる可能性が出てきた。
規制強化の流れが決定的になった理由は、昨年の金融危機のさい、欧米の金融機関が相次いで資本不足に陥ったためだ。つまり、いままで以上に、金融機関が保有するリスクの少ないお金(自己資本)の"質"の向上が求められることになった、ということだ。
自己資本は、貸し出しを含む総資本のうち、株式発行で調達した資本金や企業内部で蓄積された剰余金などの返済する必要のない資本を指す。言い換えれば、自己資本が多ければ多いほど、健全性の高い金融機関といえる。
今回、金融サミットで合意された自己資本規制の新基準のもとでは、おもに高い配当を必要としない普通株と利益で構成される「狭義の中核的な自己資本」(コア・ティアT)の比率を、総資本の4%以上に保つよう義務付ける方向だ。コア・ティアTに、配当の高い優先株が含まれるかどうかという具体的なルールは来年末に策定される予定だが、結果次第では日本の金融機関の浮沈が左右されそうだ。
なぜなら、欧米の大手銀行の多くは公的資金による資本注入を受け、普通株の比率がかさ上げされているが、邦銀は、優先株の比率が高く、健全性が低いとみなされ、新たな資本増強を迫られるのは必至だからだ。日本の3大銀行グループのうち、三井住友フィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループはそれぞれ6月と7月に公募増資を実施したばかりで、次の公募増資は年明け以降になる(増資をおこなった場合、6カ月間の売却制限がある)。他方、昨年12月に公募増資をおこなった三菱UFJフィナンシャルグループは増資可能だが、昨年の公募価格より安い価格で増資すれば投資家の批判を招きかねず、「新規制の具体的水準が見えないまま、資金をくださいというわけにいかない」(大手銀行幹部)と困惑しているのが実情だ。
新たな自己資本比率規制について、永浜利広第一生命経済研究所主席エコノミストは「米銀にくらべて自己資本に占める普通株の割合が少ない邦銀には厳しい結果だ。新たな資本政策を求められれば、銀行が貸し出し態度を厳格化しかねず、実体経済への悪影響が懸念される」(読売新聞9月27日付)と指摘している。
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