10月19日、新型インフルエンザ用のワクチン接種が、医療従事者(約100万人)を対象に全国で始まった。来年3月末までに優先接種対象者、その次に一般の順で行われる。優先接種の対象者は、妊婦(約100万人)、ぜん息、糖尿病などの基礎疾患がある人(約900万人)、1歳〜小学3年生(約1000万人)、1歳未満の小児の保護者、身体上の理由で優先接種できない人の保護者(約200万人)、小学4年〜高校生に相当する人(約1000万人)、高齢者(65歳以上で基礎疾患を持つ者を除く、約2100万人)で、合計約5400万人となる。
だがじっさいは、厚生労働省が専門家を含めて随時開いている、「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」では、「ワクチンの接種回数」と「高齢者に対するワクチン取り扱い」について意見がわかれている。
新型インフルエンザワクチンは、国産2700万人分と輸入4950万人分(グラクソ・スミスクライン3700万人分、ノバルティス1250万人分)が用意されているが、計算上国民全員にはいきわたらない。そこで、「意見交換会」では2回接種を前提としているワクチン接種を1回に限定することで全員分確保できるとする案(妊婦や基礎疾患患者も含む13歳以上が対象)が浮上した。しかし自らも外科医である足立政務官の政治判断によって妊婦や基礎疾患患者については当面2回接種とすることが決められた。
もうひとつ意見がわかれるのが、新型ワクチンが高齢者に有効かどうかをめぐる議論だ。8月下旬に開かれた厚労省の「意見交換会」では、日本老年医学会の井藤英喜氏が「高齢者はいったん罹患すると、重症化する可能性が高い」と指摘、優先的に接種させるよう求めた。いっぽう、東京都健康長寿医療センターの稲松孝思氏は「高齢者などのハイリスク者に輸入ワクチンを接種し、その後死亡する事態になった場合、因果関係を完全に否定することはできず、混乱を招く可能性がある」と、安全性の確認が不十分な輸入ワクチンの使用は慎重におこなうよう訴えた。輸入ワクチンには免疫増強剤が添加されており、日本の子どものばあい、欧米にくらべて熱性けいれんを起こす頻度が高いなどの副作用があるといわれるからだ。
新型インフルエンザ(H1N1)は、4月下旬に米国やメキシコ、カナダで発生が確認されたもので、季節性インフルエンザとくらべて、感染力は強いが、感染者は軽症のまま回復するケースが多い。全身感染を引き起こし、致死率が50%を超えるとされる強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1型)とは別のインフルエンザだ。現在、H1N1型の感染は170カ国・地域に及び、日本国内では、最新1週間の新規患者数の平均が1機関あたり10人を突破、今後4週間で大流行の恐れがある「注意報レベル」に達している。
国立感染症研究所によると、10月5日〜11日の1週間で新たな患者数は推計約64万人と、前週の33万人から倍増し、年代別では8割以上が未成年で、人工呼吸器をつけたり、脳症に陥るなど重症例は129人、うち28人が死亡している。
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