政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)は、2010年度税制改正のとりまとめに入ったが、目下、議論の焦点となっているのが環境税の導入だ。背景には、予想以上の税収不足と、現在ガソリン税などに上乗せしている暫定税率の廃止にともなう財源不足がある。12月1日には、藤井会長と会長代行の菅直人国家戦略相、原口一博総務相のトップ会談で来年4月から環境税を導入する方針で一致した。
環境省の案によると、「地球温暖化対策税」の名で創設し、ガソリンや軽油、石炭、都市ガスなど幅広い化石燃料に課税することによって、エネルギー消費を抑え、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に寄与するとしている。税収規模は2兆円を想定、税収は一般会計として処理し、住宅の省エネ化や太陽光発電の普及、エコカー減税など、鳩山首相が国際公約した「2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減」のための財源に充てる。これによって、暫定税率の廃止で減収(国と地方を合わせ2兆5千億円)する分の8割程度を補うことが可能になるという。ただ、この環境省案では、ガソリン税は5円ほど安くなるが、石炭や都市ガスの税率が倍になるため鉄鋼・電力業界へのマイナスの影響は避けられそうもない。また、この課税によって、家計はあらたに年間1127円の負担増になる。
環境税は、90年代からすでにイギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンなど、欧州を中心に幅広く導入されていて、05年10月、環境省は、環境税を導入した場合、一世帯あたり年間2100円の税負担で、総額3600億円の税収を見込めるとの案を示していた。しかし、経済界は導入に強く反対、自民党政権下では導入が先送りされた。民主党のマニフェストにも導入時期は明記されていなかったが、09年度の税収が85年度以来24年ぶりに40兆円を下回り(37兆円程度)、さらに新規国債発行額(44兆1000億円)が戦後初めて税収を上回るという厳しい財政状況になることが1日に判明、導入論を後押しすることになった。
国債発行額を44兆円以下に抑えたい菅国家戦略相は「(暫定税率の廃止と環境税の導入の)組み合わせになることは十分あり得る」(11月22日放送のNHK番組内)と、導入に積極的な姿勢を見せ、藤井財務大臣や原口総務大臣も同調している。これに対し、産業界からは、宗岡正二・日本鉄鋼連盟会長が11月25日、「業界で年間400億円を超える負担になり、反対せざるを得ない」と述べ、日本ガス協会や石油連盟も同じ声明を発表している。こうした産業への影響を配慮して、直嶋正行経済産業相は「(環境税には)まだ問題点がある。排出量取引などほかの制度との整合性が必要だ」(フジサンケイビジネスアイ11月17日付)と慎重な姿勢を示した。このほか、「(環境税導入に関して)来年の参院選で信を問うのが筋だ」(峰崎直樹財務副大臣・日経新聞11月28日付)という意見もある。
また、暫定税率が廃止になると、地方税に8055億円の穴があくため、原口総務相は独自に地方税として「地方環境税」や「環境自動車税」の創設を提唱している。さらに総務副大臣の渡邉氏は「(暫定税率を全額廃止)できないということも可能性として頭に入れておかないといけない。財源がないのに直ちに全額(廃止)というのは、地方にも迷惑をかける。穴埋めを国税の移管などでできるならベストだが、理想論をいうには時間が迫ってきている」(読売新聞11月23日付)と述べ、民主党内でもまだ意見の一致は見ていないが、政府税調では、11日にも税制大綱をまとめるとしている。
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