米国のネット販売大手、アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)が開発した電子ブックの閲覧端末の最新版、「キンドルDX」の販売が、世界100カ国以上の国で10月19日から始まった。
2007年11月に米国で発売されたキンドルは、その後、09年2月に第2世代の「キンドル2」、同年9月には大型電子ペーパーを搭載した「キンドルDX」が登場し、いまでは米国内で閲覧端末市場の60%を占めるまでになった。このキンドルの躍進で、電子ブックの全米市場規模は、当初の750万ドル(07年第1四半期)から3760万ドル(09年第2四半期)へと5倍に大幅拡大している。
「電子ブック」は、電子化された書籍や新聞のことで、このデータを携帯電話などの通信網から取り込み、「電子ブックリーダー」とよばれる画面で読む。キンドルはその代表的商品だ。厚さ0.9cm、重さ289グラムと手軽に持ち運べる重さで、6インチのモノクロ画面に文字や画像が表示され、画面には液晶よりも読みやすい電子インク(E Ink)というディスプレーが使われている。初代の価格は399ドルだったが、最新版は259ドルと値下げが進んでいる。すでに30万冊以上の書籍が電子化されていて、多くが通常の半額9.99ドル(約906円)で購入することができ、書籍1冊をダウンロードする時間は1分もかからない。ただし、世界販売されたキンドルのサービスは、目下のところ英語のみで、アマゾンジャパンでは、将来的には日本語で新聞を読めるサービスに取り組むとしている。
キンドルのチャーリー・トリッツシュラー・プロダクトマネジメントディレクターは、キンドルの特徴について、「バックライトから電子インクに変えたことで、まぶしく目に負担がかかっていたのをなくし、まるで本を読んでいるような感覚で文字を追える。そして、ダウンロードの時間を短縮化し、広域圏で使えるようにした。価格は、ハードカバーの本よりも電子ブックのほうが安いものが多い」と説明。そのうえで、書籍・メディア業界に与える影響について、「資金力のない中小出版社にとって、製本や配本コストは重荷だが、電子書籍として配信すれば、コストはかからなくなるから、大手と同じ土俵で戦うことができる。キンドルはむしろ中小出版社にとってチャンスとなる」と、メリットがあることを強調した(「日経ビジネス」10月23日号)。
岸博幸・慶応大学大学院メディアデザイン科教授も、「キンドルが実現した姿は、正確には、コンテンツ+プラットフォーム+端末という垂直統合モデルである。プラットフォームに端末を融合させることで新たなバリューを構築している。」と評価している(日経インターネットニュース11月24日付)。
ちなみに、キンドルに次いで米国内で約35%のシェアを占める閲覧端末が、ソニーの「リーダー」だ。04年に日本で専用端末を発売したが振るわず、3年足らずで撤退、06年8月からは欧米での販路に切りかえてタッチパネル式の新端末を発売、さらに09年12月には、3G無線通信機能を搭載した新機種「デーリーエディション」を発売した。
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