1月12日、日本航空(JAL)の経営再建にあたって、債権者、債務者が話し合って決める「私的整理」ではなく、債権者の債権放棄を含む手続きである「法的整理」(=会社更生法の申請)をおこなうことが事実上、決まった。JALの"再生"を任されている官民ファンドの「企業再生支援機構」が描いているのは、19日に予定されている会社更生法の申請を前に、銀行などに借金の棒引きについてあらかじめ合意を得る「事前調整(プレパッケージ)型」の再建計画だ。経営圧迫の原因ともされた企業年金も、12日にOBから減額の同意が得られたため、再建の環境が整いはじめた。
「法的整理」とは、裁判所のリードのもと、債権者全員が公平に損害をこうむる、事実上の倒産を意味する。これに対し、メガバンク3行は、倒産というイメージは日航の再建計画を困難にするという理由から、当初、JALと債権者が直接借金について話し合う「私的整理」を主張していた。しかし、企業再生支援機構の支援なしにはJALの経営続行は不可能と判断、譲歩することになった。
この結果、企業再生支援機構が潤沢な資金(税金)をJALに出融資する。ただ、この資金が現役職員およびOBの年金の原資に充当されるのを防ぐため、再生機構は、年金の減額(現役社員の削減率約53%、退職者=OB約30%)を再建の支援の前提条件としていた。年金の減額の実施には、法律上、現役社員・OBそれぞれ3分の2以上の同意が必要で、現役社員約1万5742人のうち、68%にあたる1万694人は減額に同意したものの、OBについては難航し、9日の時点で約9000人のうち同意は約4000人にとどまっていた。
JALは当初の同意取りつけの締め切り(1月12日)を22日まで延長するつもりだったが、予想に反し、期限ギリギリの1月12日に減額の合意を取りつけることができた。この背景には、年金減額に同意が取り付けられないばあいは、年金基金を解散する方針を企業再生支援機構が決めたことがある。年金基金が解散になれば、現役、OBともに年金は60%も減額されてしまうからだ。
企業年金は、基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)とは別に、独自に積み立てた3階部分で、JALの企業年金給付額は、月約25万円にもなる。「確定給付企業年金法」(2001年施行)の規定によると、企業年金の受給権は給料や退職金と同じように「労働債権」として保護されるので、たとえ法的整理になってもそれほど大胆な減額にはならないとされている。ちなみに、ライバルの全日空(ANA)が10万円弱というから、高い年金額だということがわかる。じっさい、JALの年金資産は2918億円(08年度末)で、必要額より約2400億円も不足していた。
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