独立行政法人・水産総合研究センターは8日、ウナギの完全養殖に成功したと発表した。これによって、好、不漁に左右されることなくウナギを安定供給することができる可能性が出てきた。
完全養殖とは、ウナギに人工的に卵を産ませ、孵化させ、シラスウナギ(稚魚)から親ウナギに成長させ、そのウナギに卵を産ませるサイクルをさす。従来の養殖は、天然のシラスウナギを捕獲して育てるというもので、資源の枯渇が懸念されていた。現在、日本の食卓にあがるウナギは99%がこうした方法で養殖されたものだ。
03年、水産総合研究センターが、世界ではじめて親ウナギに生ませた卵をシラスウナギに成長させることに成功、その後数年かけて親ウナギに成長させ、今年はじめに人工授精によって25万個の受精卵を孵化させた。そのうち10万匹が元気に生き残り、4月2日からエサを食べ始めたことで完全養殖が成功した。
シラスウナギの資源量は世界的に減少傾向にあり、07年のワシントン条約締約国会議で輸出が規制されることが決まっていた。EU(欧州連合)は09年から13年までの間に漁獲量の6割を減らす予定だ。日本のウナギ捕獲量も、60年代にくらべて20分の1に減り、不漁による価格高騰が完全養殖の期待を集めていた。今後は商業化に必要な大量生産の技術開発が待たれている。
ウナギ同様、完全養殖がむずかしいとされていたクロマグロも、02年、近畿大学水産研究所が世界ではじめて完全養殖に成功した。「キンダイマグロ」呼ばれる、この養殖マグロは、徐々に一般のすし屋に流通しつつある。
ただ、需要を満たすほどまでには大量生産の技術が確立しているわけではない。今年3月には、ワシントン条約締約国会議で、クロマグロの輸出禁止案が投票にかけられ注目を集めたが、もし輸出禁止になっていれば、国内備蓄が2年分あるものの、価格の高騰はさけられず、世界のクロマグロの8割を消費している日本には死活問題だった。
07年から養殖に取り組んできた熊本県の水産加工会社「ブリミー」も、やはりクロマグロの完全養殖に成功し、2月から米国向けに本格的に輸出している。2年後には年間7000〜1万匹を出荷し、約10億円の売り上げを目指している。海外の日本食ブームに相乗することができれば、新たな産業として成り立つ可能性は高い。
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