2007.10.18
山崎マキコの時事音痴 文藝春秋編 日本の論点
●第133回●
いつまでもデブと思うなよ、と、わたしも言いたい その2
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 さてそういう訳で、わたしの『いつまでもデブと思うなよ、と、わたしも言いたい』の日々について語ろうと思う。じつはこの原稿、この方式を取り入れてまだ6日しか経過してない段階で書いている。しかしすでに1キログラムは減ってしまった。
 巷にダイエット食品がでまわっているいま、6日で1キログラム減量というのはスピードとして遅いと思われる方も多いだろう。誤差だと仰る方もいるだろう。まあそれのどちらも認める。けど、ここからが重要なんだけど、岡田斗司夫氏が提唱するレコーディング・ダイエットというのは、ダイエットを始めるための助走期間というものを設けないとならないのだ。つまり、はじめてしばらくは痩せちゃいけないんである。
 人によって助走期間は多少短くしてもいいんだけど、氏の場合は6カ月の助走期間があったそうだ。ただし、そのあいだにやらねばならぬことというのがあって、それはなにかというと、

・毎日の食事を詳細に記録する
・体重を計り続ける

 このふたつである。朝昼晩のご飯時になにを食べたかはもちろんのこと、間食して巨峰1粒を口に入れても記録しなきゃいけないし、さらにはその食べた時間もあわせて記録しなきゃいけないというものなのだ。その理由というのは、こうだ。

 なのになぜ、わたしは太っているんだろう?
 そんな無茶な食生活を送っているとは絶対に思えない。ではなぜ?

 わからないときは詳細なデータを集めるに限る。会社の経営が苦しいときも、まずやるべきことは、お金の出入りの把握だ。自信満々で発売した商品の売れ行きがイマイチだったときも「発売から週何個ずつ売れたのか」「どんな店で何個ずつ売れているのか」という、売れ数の把握が第一歩だ。対策をすぐに考えたり、理由を安易に想像したりすべきではない。

 氏はこういう考えから、半年間、ダイエットしようと思わず延々と記録を続けたという。例をあげると、氏の記録はこんな感じだ。
「15:30 楽屋でバカうけ二枚。ポテチ三枚。ポッキー二本。コーラ三五〇ミリ」
 自分の食習慣を冷静に見つめなおすために、誤魔化さず、自分の欲望のおもむくまま、自分の食生活の習慣のまま、延々と食べ続けなければならない。さらにそれを詳細に記録しなくてはならない。だから、6日間で1キロ痩せてしまったわたしの場合は、レコーディング・ダイエットとしてはむしろ失敗してると思うべきなんである。ここが他のダイエットとの大きな違いだ。だというのに、わたしはこの6日間、痩せようという決意もなければ意識もないまま、1キログラム減らしてしまったのだ。で、氏も、はじめて数カ月は痩せるなと提唱しつつも、自分も6カ月の助走期間のあいだに実は10キログラム減らしてしまったと告白している。なぜわたしが痩せたのか。そして氏も痩せたのか。
 理由は本当に簡単なことで、記録するのって面倒なんである。それと、記録していると、自分で自分が恥ずかしくてたまらなくなってくるんである。
 わたしは『いつまでもデブと思うなよ、と、わたしも言いたい』を書き始めるにあたって「よし、自分の記録を原稿中に挿入しよう」と決めて記録をとり始めたんだけど、これがまあ、とんでもないのだ。これを人様に見せなければならないと思うと、凍りつくような思いである。

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山崎マキコ自画像
山崎マキコ
1967年福島県生まれ。明治大学在学中、『健康ソフトハウス物語』でライターデビュー。パソコン雑誌を中心に活躍する。小説は別冊文藝春秋に連載された『ためらいもイエス』のほか、『マリモ』『さよなら、スナフキン』『声だけが耳に残る』。笑いと涙を誘うマキコ節には誰もがやみつきになる。『日本の論点』創刊時、「パソコンのプロ」として索引の作成を担当していた。その当時の編集部の様子はエッセイ集『恋愛音痴』に活写されている。
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