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さて、今週こそカミングアウトである。
しかし困ったことに、先週書いたときはカミングアウトするだけの精神的な勢いがあったのに、今週は意欲が下げ基調というか、大暴落である。結局、カミングアウトしないで終わっちゃう可能性のほうが高い、いまの気分だ。誰だ、カミングアウトなんてしようと考えた奴は? ああ、自分か。大馬鹿野郎だな。ジェンダーの混乱なんかを表明したところで、わたしに何かいいことあるの? ねえよなあ、どう考えても。
そもそもこの原稿を書こうと思った発端は、この記事に接したことである。詳細はこのページを参照していただきたいのだが、一部抜粋させてもらうと、こんな感じである。
アメリカで10月11日は「国民カミングアウトデー」で、「レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)だって公言しちゃおうよ!」なる日。
米国以外でもスイスやカナダ、オランダ、ドイツでも同様にこの日を「表明日」としていて、英国は一日ずれて12日に設定されている。
何でこんな日が必要か? と言うと、一般大衆にLGBTという認識を広めるため、というのが目的らしい。同時に多数の場所でディスカッションなどを催し、世の中への理解を求めている。
わたしの中の印象では、アメリカの性同一障害者いうのはとてもオープンで、そして自己肯定しているというものなので、いまだにこういう日を設けなくてはならないということに愕然としたわけだ。
というのも、1978年にアメリカのVillage Peopleというグループが、『Y.M.C.A.』という曲を発表して大ヒットしたのだが、『Y.M.C.A.』はゲイを指すスラングだったりする。元々、『Y.M.C.A.』はキリスト教青年会、Young Men's Christian Associationの略だったのに、Y.M.C.A.が経営している宿泊施設が男性専用なので、結果的にゲイの巣窟、ネットスラングでいえば「すくつ」になっちゃったわけだ。プロモーションビデオは、いかにもなゲイファッションに身を包んだ男たちが満面の笑顔で踊り狂いながらゲイ賛歌を歌い上げているというもので、いまだにあれを目にしたときの衝撃が忘れられない。よければYouTubeで検索してその画像を見てもらいたいほどである。
ちなみに当時の日本の状況はどうだったかというと、それを象徴するのが、佐良直美のスキャンダルだろう。佐良直美は、1967年にデビューした大物歌手で、デビュー曲の『世界は二人のために』は、120万枚のレコード売上げを記録。NHK紅白歌合戦にも出場し、1969年には、『いいじゃないの幸せならば』で第11回日本レコード大賞を受賞したという、押しも押されぬ実力派歌手であった。ところが、である。1980年にタレントのキャッシーと同性愛の関係にあることが報道されて以後は、事実上、芸能界から追われた。それほどに日本におけるLGBTへの偏見は強かったのである。なのにアメリカは? ゲイ賛歌を歌い狂い、踊り狂っている。それが大衆に支持されている。その衝撃がご理解いただけるだろうか?
ちなみに、Village Peopleが、『Y.M.C.A.』の次に放ったヒット曲は『In the Navy』である。タイトルからすべてをお察しくださいって感じだが、これまた水兵服を着たメンバーたちが、戦艦の上で旗を振りながらゲイ賛歌を歌い狂い、踊り狂うというものだ。あの衝撃は、いまもわたしの脳裏に焼きついている。
だから、いまさらカミングアウトDAYなどというものを必要とするほど、性的に抑圧されている人がアメリカにもいるというのが驚きであると同時に、「そうだ、黙っているだけでは世間の偏見は解消されない。わたしもまた、抑圧への抵抗の一歩を踏み出そう!」という熱い思いが込み上げてきたんだけど、どうしてそんなことを考えたのか、今日の気分ではもう全然わかんない。
こんなこと黙っていたほうが、絶対得だって!
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