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まずは前回のTPPの原稿に関する訂正と補足から。
どこを訂正するかっていうと、このくだりである。
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しかしこないだようやくTPPの危険性に目覚めたので、TPPに反対している男の子と話したのだが、そんな彼でさえこう言ってたもんね。
「でもコメ、高いっスよ」
彼は最近、太った。わたしと同じ身長160cmで60kg。ま……ちょっとデブであるな。だから自炊してカロリーコントロールをしよう、ということで、コメを買ってきたらしい。そこで尋ねた。
「そお? いったい、幾らのお米を買ってきたのよ」
どんだけのブランド米を買ったのだろうと考えた。魚沼産棚田の合鴨米か?
「コシヒカリ2kgで1200円ですよ? 高いっスよ」
アンタが足繁く通っている、大塚の激安ピンサロは一回2000円だろうが!
「今日もババアに咥えられて、すっごく悲しい」
とかなんとか言いながら、懲りもせずに通ってるよな!
それから大好きな個室ビデオはたしか800円! 主食を軽んじて性欲を取るからデブになんだよ、この売国奴がっ。
わたしはTPPを温く認識してたんだよな。関税撤廃に、ある程度の例外的措置はあるんだろうと、実に温く想像してたんだよね。まさか「全て」だとは想像していなかった。主食まで売り渡すとは、なんたる愚挙。
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これに対して彼は、
「まったくの事実無根であり、認識不足もいいところですよ!」
と憤怒している。どこが事実と違うかというと、
「大塚の激安ピンサロは一回3000円! 2000円の店もあるけど、サービスが悪いから俺は通ってないんですよっ」
というのが第一点。サービスが悪いっていうことを知ってるってことは、2000円の店にも期待をこめて足を運んだということになるようにわたしには思えるのだが、
「俺は3000円! これでもオックスフォードに留学したジェントルマン・イン・ジェントルメンですからね、3000円のサービスを求めるんですよ」
と自慢げに。あなたいったい何時、オックスフォードに留学したっけ? 高校のときに修学旅行でオーストラリアに行くっていうだけで、
「国境を越えるとエボラ出血熱に罹っちゃうー!」
とパニックに陥ったんじゃなかったけ。
第二点はというと、
「個室ビデオは開店したてならば一時間で1000円の店もあれば、一時間半で1000円の店もあるんです。断じて、800円じゃありません!」
だそうだ。で、
「俺が個室ビデオや激安ピンサロに通うのは、主食よりも性欲を重んじたからでは断じてなく、これは哲学や文学の領域になってくるんですが、『悲しみ』に浸りたいからなんです。俺はオックスフォードに(以下略)」
と主張する。彼の言うところの『悲しみ』というのは、
「トンネルを抜けると、そこは『デッドボール』だった」
というようなものらしい。『デッドボール』というのは、鶯谷にある出張待ち合わせ型激安風俗店で、この風俗店で採用になるには、
「どこの風俗店でも採用を断られた女性」
に限る。謳い文句は、
「風俗を止めたい方〜各種宴会の罰ゲームまで、遊べば夫婦関係円満!彼女の有り難さ倍増!」
である。店長は日々、風俗嬢たちの特大弁当を買うのに忙しく、
「うちの風俗嬢たちの待機部屋は、まるで豚小屋です」
と嘆いている。わたしもサイトで、ここで働く風俗嬢たちの画像(顔出しなし)を閲覧したことがあるのだが、
「うん、見事な“どすこい”揃い。両国国技館で戦えるね!」
との感想を持った。また、風俗嬢の顔について説明書きもついているのだが、
「まんま、カワハギです」
と説明されていたりする。どんな顔だよ。
まあそういう訳で、訂正です。はいはい、激安ピンサロは3000円で、個室ビデオは1000円ね。また無駄な知識がひとつ増えたわ。
では、ようやく今月の話題に移ろう。
皆様ご存知かと思うが、わたしが現在住んでいる高知県の産物には「柚子」がある。ゆず。どういう理由でかはよく知らないのだが、四国はかんきつ類に県ごとの特産物があり、愛媛は「蜜柑」、徳島は「すだち」、高知は「柚子」と決まっている。四国というからにはあと一県あったと思うんだが、思い出せないのであしからず。
んで。10月28日までの高知県は、大変な人出不足であった。これは高知にやってきて知った事実なのであるが、JA、すなわち農協にも、「締め切り」というものが存在したのである。いやあ、驚いたね。JAは、「この日まで収穫した柚子なら、JAで販路を確保します」というのを、あらかじめ設定してんのよ。JAの主な仕事っていうのは流通だからね。ほかにもいろいろあるけど、おおよそは、これ。
わたしは四国に来るまえに、猟友会に入ろうかと考えていた。
というのも、このあたりは獣害が酷いっていう話だったので、猟銃でイノシシでもサルでもシカでも、撃ち殺してやるわと考えていた。
だが、辞めた。
というのも、宵闇過ぎても収穫している老婆とか居るから。
首都圏に住んでいる人たちは「収穫物というのは、大きさが一定である」と認識しているかもしれないが、大間違いである。例えば高知県産のオクラ。オクラというのは、一晩放置しただけで長さがかなり違ってしまう。JAが買い取ってくれるのは、長さ5cmぐらいと規定されている。だから高知の農業従事者とかは、津山三十人殺し(そういう事件が、昭和13年に、岡山県の、現・津山市でありました)の犯人のごとく、頭に、はちまきを締め、小型懐中電灯を両側に1本ずつ結わえ付けて、オクラの長さ5cmに成長しているところで収穫している。
つまり、
「あっ、猿だ」
と思って発砲したら、それが腰の曲がった老婆だったことも、十分にありうる事態なのである。これは、怖い。
なのでわたしは、猟友会に入るのを辞めたのである。ヤバいって。
で、話を柚子に戻そう。
現在、わたしの夫は、ある農業法人で働いている。買い取り先はJAだ。ということは、「流通」の都合に合わせて、こちらも収穫しなければならないという理屈が通る。その締め切りが、10月26日だった。これはあとで談判して10月28日に変更されるのだが、職のない高知県でも、この時期だけは、大変な人手不足に陥る。
そこでわたしも、柚子採りのバイトに従事する次第となった。
しかしねえ、結論から言うと、
「騙された」
としか言えないんだよねえ。わたし、夫から聞かされていたんだ。
「柚子採りはとっても楽しい」
って。内心、懐疑的だったのね。というのも、わたしは、前にも話したと思うけど、北海道で酪農家のお宅に住み込みで働いていたからね。農業ほどキツい仕事はないと、身をもって知っている。わたしがそこで主にやっていた仕事はというと、牛舎のなかの牛の糞を、シャベルですくってネコ、つまり一輪車に乗せて運搬して牛舎の外に出すという仕事だったのだが。体が悲鳴をあげること、この上なし。昼食を食べるともう撃沈。体が疲れて、眠くて、眠くて。体中が筋肉痛で痛くて、痛くて。
「おらあ、農業だけはやりたくねー!」
と、あのとき思った。これが後に反動となって、夫が農業従事者になると言い出したときに、
「偉い! 机上の空論だけでなく、実践者になるのか」
と感動してしまって道を踏み誤る次第になるのだが。ま、それはどうでもいいや。
懐疑的だったにもかかわらず、柚子採りのバイトに志願してしまったのは、JAにも締め切りがあるから夫の助けになりたいとかそういう殊勝な気持ちがあったからではなく、一目お目にかかってみたい人物がいたからなのだった。
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