雇用者全体に占める非正社員の比率は傾向的に高まり、二〇〇八年(平成二〇年)初めには三四パーセントに達している。これが小泉政権による派遣法の規制緩和によるものという「常識」が成り立っており、それが派遣禁止論の前提となっている。しかし現実に、増えたといわれる派遣社員は、非正社員全体の一割弱を占めるに過ぎない。 非正社員の大部分を占めるパートタイムの数は、一九九〇年代以降、経済停滞が長期化するなかで、派遣法の規制緩和以前から傾向的に増えてきた。この主因は、企業が過大な正社員を抱え込めなくなったことにある。 欧米のように、不況時に一時解雇という手段で対応できない日本では、過剰な雇用は新卒採用の抑制や、定年退職や希望退職の奨励に依存し、時間をかけて調整せざるを得ない。その際、不足人員も、雇用調整の容易な非正社員で補充することが優先される。過去の四〜五パーセントの高い経済成長の下で成り立っていた、終身雇用と年功賃金の労働慣行を、長期停滞期にもほとんど改革せず、そのまま維持している大企業の行動が、結果的に非正社員増加の大きな要因となっている。 企業がより多くの利益を追求するために低賃金の非正社員を増やしたとの見方があるが、高賃金であってもそれ以上に生産性が高ければ、正社員を雇うほうが企業の利益となる。日本企業の問題は、景気後退で生産量が減少した際にも、正社員の雇用と賃金がともに硬直的で、人件費調整の余地が小さいことである。現に、景気停滞の長期化による過剰雇用で、労働分配率は九〇年の六六・四パーセントから〇一年の七四・二パーセントまで一挙に高まった。これが正社員の比率低下を含む雇用調整の進展で、分配率は〇六年の七〇・五パーセントにまで徐々に低下してきた。
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