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論 点 「派遣労働のどこが問題か」 2009年版
派遣は悪ではない――規制強化より派遣を活用する労働者の保護強化を
[非正規雇用についての基礎知識] >>>

やしろ・なおひろ
八代尚宏 (国際基督教大学教授)
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▼対論あり

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終身雇用と年功賃金を改革できなかった日本
 雇用者全体に占める非正社員の比率は傾向的に高まり、二〇〇八年(平成二〇年)初めには三四パーセントに達している。これが小泉政権による派遣法の規制緩和によるものという「常識」が成り立っており、それが派遣禁止論の前提となっている。しかし現実に、増えたといわれる派遣社員は、非正社員全体の一割弱を占めるに過ぎない。
 非正社員の大部分を占めるパートタイムの数は、一九九〇年代以降、経済停滞が長期化するなかで、派遣法の規制緩和以前から傾向的に増えてきた。この主因は、企業が過大な正社員を抱え込めなくなったことにある。
 欧米のように、不況時に一時解雇という手段で対応できない日本では、過剰な雇用は新卒採用の抑制や、定年退職や希望退職の奨励に依存し、時間をかけて調整せざるを得ない。その際、不足人員も、雇用調整の容易な非正社員で補充することが優先される。過去の四〜五パーセントの高い経済成長の下で成り立っていた、終身雇用と年功賃金の労働慣行を、長期停滞期にもほとんど改革せず、そのまま維持している大企業の行動が、結果的に非正社員増加の大きな要因となっている。
 企業がより多くの利益を追求するために低賃金の非正社員を増やしたとの見方があるが、高賃金であってもそれ以上に生産性が高ければ、正社員を雇うほうが企業の利益となる。日本企業の問題は、景気後退で生産量が減少した際にも、正社員の雇用と賃金がともに硬直的で、人件費調整の余地が小さいことである。現に、景気停滞の長期化による過剰雇用で、労働分配率は九〇年の六六・四パーセントから〇一年の七四・二パーセントまで一挙に高まった。これが正社員の比率低下を含む雇用調整の進展で、分配率は〇六年の七〇・五パーセントにまで徐々に低下してきた。


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論 点 「派遣労働のどこが問題か」 2009年版

対論!もう1つの主張
好きなときに好きなだけ低賃金労働を調達できる派遣制度など亡国の手法
鎌田 慧(ノンフィクション作家)


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やしろ・なおひろ
八代尚宏

1946年大阪府生まれ。国際基督教大学教養学部、東京大学経済学部卒。経済企画庁に入庁後、米メリーランド大学大学院で経済学博士号取得。OECD主任エコノミスト、上智大学教授、日本経済研究センター理事長等を経て、現在国際基督教大学教養学部教授。専門は経済政策、労働経済学など。安倍・福田前首相の「経済財政諮問会議」の民間議員を務め、構造改革をバックアップ。日本の規制改革の理論的支柱のひとり。著書は『規制改革』『雇用改革の時代』『「健全な市場社会」への戦略』など多数。



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