一国の税制は国のあるべき長期の姿を反映したものでなくてはいけない。残念ながら、現在行われている税制論議の多くは、この「長期」という視点を欠いている。消費税率の引き上げを避けることはできない。これは誰も否定しない。問題はその引き上げについて、どのような根拠で、いつ、そしてどの程度の規模で行うのかということだ。 今の消費税引き上げ論議はあまり健全ではない。二〇一一年を目標としたプライマリーバランスの黒字化を実現するため、そして基礎年金の半分を税で負担するため、という議論があるが、そうした目先の目標や帳簿上の財政事情で消費税率引き上げが議論されても、説得性は弱い。 安易に消費税を引き上げると景気が悪化する、と消費税引き上げに慎重な意見がある。しかし、それではいつ消費税を引き上げるのか、という話になる。景気がよくなれば法人税などの増収があり、消費税率の引き上げを急ぐ理由がなくなる。景気が悪くなると、消費税率を引き上げることはできない。これでは、消費税率は永遠に上げられない。 消費税を安易に上げることに賛成できないのは、歳出の無駄が多すぎるからだ、という議論もある。たしかに歳出改革は重要だ。しかし、歳出の無駄が完全になくなるまで消費税率を上げないという「消費税捕虜論」では、これまた永遠に消費税を上げることはできない。政府の無駄を削減することが、消費税引き上げを遅らせる理由に使われているとしか思われない。 消費税は、日本の長期の姿に基づいて議論する必要がある。少子高齢化が進む中で、今のような状態では、医療・年金・介護などの社会保障はぼろぼろになってしまう。教育だってじり貧だ。それでよいのだろうか。無駄な歳出はカットしなければいけないが、最近は必要な歳出ができない状態にある。小さな政府か大きな政府か、という単純な議論にはしたくないが、今の状態で消費税を上げられなければ、社会保障はぼろぼろになるだろう。国民がそんな状態を望んでいるとは思われない。
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