人間のものの考え方や思想は、時代によって大きく変化する。今まで我々は、明治維新によって確立された中央集権体制を当然のこととして考えてきたが、もはやそうした発想を根本的に転換すべきときが来たのではないか。 日本の人口は減少局面に入り、少子高齢化はとどまるところを知らない。日本各地で集落としての存続が危ぶまれる地域が出てきている。また都市部においても「過疎」といっても過言ではないほど、中心部の空洞化が進んでいる地域が少なくない。一見華やかに見える首都東京でも、大幅な出生率の低下など危機的状況が現実のものとなっている。今後、超高齢化社会がさらに進行することは確実である。社会保障に関する多くの問題を含め、現在の日本社会には、一朝一夕に解決できない多くの問題が存在する。 その一方、国も地方も財政状況は危機的である。国、地方合わせて八〇〇兆円以上の負債を抱え、これをどのように返済していくのか、その算段がまったく立っていないのである。さらに、社会経済のグローバル化の進展にともない、国境を越えた都市間競争が激しさを増している。現在のような中央集権体制では、今やこのような状況に的確に対応できなくなっているのである。 こうした問題に対処するためには、思い切った改革が必要である。これからの社会は、それぞれの地方が一律に同じ服を着るという時代ではない。各々の地方が自分にピッタリ合った洋服のサイズを選ぶことができるようにしなければならない。東京をモデルにして一律の制度をすべての地方に適用していくようなやり方は、決してうまくいかない。やり方は地域ごとに違って当然であり、その地方のことをもっとも熟知している各地方自治体が自分たちで決定し、その責任も負うようにしていく必要がある。 そのためにはまず、国と地方の役割分担を明確にしなければならない。地方でできることは地方でする。地方でできないこと、また国全体でしたほうがよいことのみを国が担当する。これを決めていくのが、私が委員長を務める地方分権改革推進委員会の任務である。
|