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論 点 「新型インフルへの対処法は」 2009年版
六四万人を見殺しに――責任者不在の新型インフルエンザ対策に物申す
[新型インフルエンザについての基礎知識] >>>

とのおか・たつひと
外岡立人 (前小樽市保健所長)
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H5N1ウイルスが広がっている緊急事態
 政府の新型インフルエンザ対策が、まったくといっていいほど機能していないことが露呈される事件が、二〇〇八年(平成二〇年)四月に発生した。しかも政府はもとより、マスコミも国民もそれを認識できていなかったから、日本の新型インフルエンザに関する危機管理対策は、きわめて危ういといわざるを得ない。
 同年四月三日頃から、韓国の家きん農場でH5N1鳥インフルエンザが発生したことが、海外報道機関のウェブサイトで報じられた。それは日増しに増えだし、数日以内に私の主宰するウェブサイト「鳥および新型インフルエンザ海外直近情報」の日々の主要な情報となっていた。
 私は、間違いなく一カ月以内にH5N1ウイルスが日本国内に拡大してくると確信していた。その後、ウイルスは韓国内の家きん農場にまたたく間に拡大していったが、さらに驚くことに、一二日にはロシア極東のウラジオストック近くの家きん農場でも発生したことが、ロシアの報道機関から発信された。
 間違いなく日本海を中心にしてH5N1ウイルスが広がっている、と私は考えていた。
 〇七年一月に宮崎県と岡山県の養鶏場でH5N1鳥インフルエンザが発生し、多数の鶏が殺処分されたことは記憶に新しい。しかし韓国でも、前年の一一月から家きん農場で発生していた。結果的にウイルスは同じ青海系統株だったことが確認されている。また〇四年一月にも、山口県と京都府の養鶏場でH5N1鳥インフルエンザが発生したが、このときも前年一二月に韓国の家きん農場で発生していた。韓国で発生する鳥インフルエンザは、一カ月以内に日本にも拡大してくることは分かり切っていたのだ。


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とのおか・たつひと
外岡立人

1944年北海道生まれ。北海道大学医学部卒業後、2年間ドイツのマックス・プランク免疫生物学研究所に留学。小樽病院などで28年間小児科医として勤務した後、2001年より08年8月まで小樽市保健所長を務める。新型肺炎(SARS)やノロウイルスなどの感染症の情報をホームページで紹介。05年に開設した「鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集」は、鳥インフルエンザに関する国内屈指の情報源として、全国の行政、医療関係者らが毎日閲覧する。著書に『新型インフルエンザ・クライシス』など。



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