はっきりした非婚傾向が存在すること、これは事実である。非婚者には「結婚することを望まない人」と「結婚は望むが、機会に恵まれない人」の二種に類別される。この二つはそれぞれ別個の文脈で起きている出来事であり、同じ一つの枠組みでは論じられない。 「結婚することを望まない人」にはしばしば個人的な(性格上の、あるいは嗜癖上の)理由があり、余人の容喙すべきことでない。しかし、「結婚しない方が自己利益の最大化には有利である」という社会的な理由から非婚を選択している人の場合には、これは「個人的」判断とは言いがたい。それはむしろ私たちの社会に瀰漫しているある種の「イデオロギー」の効果だからである。このイデオロギーがどのように発生し、どのように私たちの思考や行動を律しているかということは学的な考究の対象たりうる。本稿ではこれを論じる。 もう一つの「結婚は望むが、機会に恵まれない人」に対して、何よりもまず個別的、具体的な支援が必要である。それはもっぱら私人としての「草の根」レベルの活動であり、本稿では論じない(むろん、なぜ「機会に恵まれない」人々が集団的に発生したかにはそれなりの歴史的理由があるのだが、それを話し出すと本一冊書かねばならない)。
|