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論 点 「なぜ結婚しない人が増えたか」 2009年版
家族から個人にシフトした消費のかたちが、親族の再生産を放棄させた
[結婚難についての基礎知識] >>>

うちだ・たつる
内田 樹 (神戸女学院大学教授)
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「結婚しないほうが有利」というイデオロギー
 はっきりした非婚傾向が存在すること、これは事実である。非婚者には「結婚することを望まない人」と「結婚は望むが、機会に恵まれない人」の二種に類別される。この二つはそれぞれ別個の文脈で起きている出来事であり、同じ一つの枠組みでは論じられない。
「結婚することを望まない人」にはしばしば個人的な(性格上の、あるいは嗜癖上の)理由があり、余人の容喙すべきことでない。しかし、「結婚しない方が自己利益の最大化には有利である」という社会的な理由から非婚を選択している人の場合には、これは「個人的」判断とは言いがたい。それはむしろ私たちの社会に瀰漫しているある種の「イデオロギー」の効果だからである。このイデオロギーがどのように発生し、どのように私たちの思考や行動を律しているかということは学的な考究の対象たりうる。本稿ではこれを論じる。
 もう一つの「結婚は望むが、機会に恵まれない人」に対して、何よりもまず個別的、具体的な支援が必要である。それはもっぱら私人としての「草の根」レベルの活動であり、本稿では論じない(むろん、なぜ「機会に恵まれない」人々が集団的に発生したかにはそれなりの歴史的理由があるのだが、それを話し出すと本一冊書かねばならない)。


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うちだ・たつる
内田 樹

1950年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院に在籍しつつ、翻訳会社を経営。神戸女学院大学文学部助教授を経て、現在教授。専門はフランス現代思想。映画論、武道論にも通じ、合気道は六段の腕前で、大学の合気道部、地元芦屋で多田塾甲南合気会を主宰。自身のブログ「内田樹の研究室」にてエッセイを掲載。累計1600万ヒットを越える。『ためらいの倫理学』『下流志向』『街場の現代思想』『こんな日本でよかったね』など著書多数。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞受賞。



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