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論 点 「いまPTAは必要なのか」 2009年版
義務化したボランティアから市民社会のための学校へ――私のPTA改革
[PTAについての基礎知識] >>>

かわばた・ひろと
川端裕人 (作家)
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役員の拘束は年間四〇〇時間を超えた
 二〇〇八年(平成二〇年)五月、杉並区立和田中学校のPTAが「PTA」ではなくなった。PTAとは、保護者(P)と教師(T)の会だが、そこから教師が抜けて、純然たる「保護者の会」として再編された。同時に杉並区のPTA連絡協議会(P協)も休会し、来年度以降は脱退も考えるという。さらに、和田中独自の学校支援組織である地域本部に「保護者の会」を組み込む計画も検討されている。
 背景には「仕事をリストラし必要なことに力を注ぎたい」「親と地域が協力し学校を支える態勢を強めたい」との願いがある(和田中ウェブページの説明)。この「背景」について、私は大いに頷ける。今のPTAは、様々な局面で無理な事業展開、非効率な運営など問題が山積しており、なにより、活動の担い手である保護者たちが負担にあえいでいる現実がある。
 私自身、PTAとは息子が公立小学校に入学してから四年半のつき合いだ。その間、各種委員会や本部役員(副会長)など経験した。その負担たるや想像を絶するものがあり、副会長を務めたときは単純に会議などの拘束だけでも年間四〇〇時間を超えた。愕然としつつPTAをめぐる取材をはじめたところ、役員がこの程度の時間を活動に注ぎ込むのはそれほど珍しくないことも分かった。
 ちなみにPTA役員の仕事の内訳は、総会や運営委員会の開催など事務局業務、学校への支援・協力・参画、P協の会議・研修会、地域との連携などだ。夜や週末の出も多い。これが数百時間規模の拘束を意味するなら、現役の子育て世代である保護者には無理がある。子どもにしわ寄せがいっては本末転倒だし、激務のため、あるいは家庭・仕事との板挟みで消耗し、心身の健康を損なった人を何人も知っている。
 そして、役員の負担は、役員選びの困難に直結する。毎年、開かれる役員選考の会議は、一般保護者に多大なストレスを与えている。誰もが下を向いて「貝」になったり、これまで貢献度の少なかった会員を名指しで非難したり……PTA嫌いはもちろん、学校嫌いすら量産しかねない「人生最悪の会議体験」になることがある。
 PTAは個々の学校単位で組織されているものだが、日本全国で足しあわせると一〇〇〇万人以上が会員になっているといわれる。毎年一〇〇〇万人規模で、このような息詰まる会議が行われているかと思うと、それだけで憂鬱な気分になる。


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かわばた・ひろと
川端裕人

1964年兵庫県生まれ。千葉県育ち。東京大学教養学部卒。95年『クジラを捕って、考えた』で作家デビュー。97年よりコロンビア大学に研究員として在籍。自然と人間の関わりをテーマにしたノンフィクションを発表する。98年『夏のロケット』(サントリーミステリー大賞優秀作品賞)を機に小説家としても活躍。著書に『リスクテイカー』『川の名前』『今ここにいるぼくらは』など多数。近著に『バカ親、バカ教師にもほどがある』(共著)『PTA再活用論―悩ましき現実を超えて』。



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