慶應義塾大学は一九九〇年(平成二年)に湘南藤沢キャンパス(SFC)を開設し、総合政策学部と環境情報学部という双子の学部をAO入試制度と共に発足させた。すなわちアドミッションズ・オフィスという新しい部署を設け、そこに寄せられた出願書類一式を丹念に審査し、最終的には学生を直接面接して合否を判定する、新しい入試方式である。 それから一八年、SFCではAO入試が完全に定着した。たとえば二〇〇八年度AO入試の実施状況を見ると、総合政策学部と環境情報学部合わせて志願者総数一五一五名、面接者総数三一九名、合格者数二三九名という結果が出ている。前年度と比較して、志願者数は総合政策学部で二〇六名増加、環境情報学部でも一四八名増加した。AO入試の受験者数は近年やや低落傾向にあったが、〇八年度から大幅増加に転じ、同年の志願者数は過去最高。合格者の手続き率も高い。〇九年度もこれまでのところ、出願者がさらに増えている。AO入試で入学する学生の数は、二学部あわせて全体の約二割を占める。 AO入試は受験者の数が増えているだけでなく、その質も高い。〇五年の調査によれば、入学後の成績、活動、慶應内外での受賞実績において、AOで入学した学生は一般入試の学生よりもよい結果を出している。たとえば学業成績については、九〇年から〇五年まで一貫して、AO入学者のGPA換算の成績(平均値)が一般入試による入学者よりも高かった。また、学術・芸術・社会活動・文化活動等において優れた業績を挙げた学生を慶應義塾内で顕彰する「塾長賞」や「塾長奨励賞」などの受賞率も、AO入学者の方が高い。 教員の多くも、AO入試で入学した学生は、おしなべて勉学・活動への意欲が高いと感じている。個人差があるものの、SFCを志望するにあたり学部のことを相当調べ、実際にSFCを訪れ、SFCへ進学した高校の先輩に話を聞き、まだ稚拙だとはいえ「大学で何をしたいか」を自らに問い、文章にする。その過程で、一言でいえば「SFCにぞっこん」となってAOの願書を出す学生が、毎年相当数存在する。
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