いま日本の政治は混乱の極に達している。景気は深刻な下降局面を迎え、景気低迷とインフレが同時進行するスタグフレーションに突入しつつある。 待てど暮らせど、庶民の所得水準は上向く気配はないし、家計は青息吐息でひたすら防衛にまわるだけで、堅調な消費による内需拡大など、夢のまた夢だ。追い打ちをかけるように、原油や食料など、生活必需品が高騰し、しかも頼みの年金の登録漏れなどが露見し、安心の土台は揺らぐ一方で、不安は募るばかりである。 さらに、被雇用者に占める非正規雇用者の割合が増え、パートや派遣労働など、雇用情勢は厳しさを増している。階層間格差、地域格差は、確実に広がりつつある。 こうした結果、日本社会には閉塞感が漂い、まるで社会全体に靄がかかったようにいっこうに視界は晴れないままだ。 こんな世相を反映してか、二〇〇八年(平成二〇年)の自殺者は三万人を上回り、一九九八年以来の一〇年、三〇万人以上の尊い生命が自ら消えていったことになる。この結果、毎年、じつに一四万人が自死遺族として取り残されているのである。 この目を覆うような悲惨な実態は、いったい何を意味しているのか。 先進諸国グループの中でも、激しい体制転換を経験した東欧諸国を除くと、日本の自殺率の高さが目をひく。世界一安全で、治安もよく、政権交代もない超安定社会で、なぜ自殺者の数が一〇年にわたり高止まりで推移しているのか。 自殺者の数が三万という数字を突破したのは、一九九八年三月、いうまでもなく前年(金融危機のあった九七年)の決算期の三月である。明らかに日本経済の落ち込みが響いている。経済の落ち込みと自殺者の数の増加。これほどわかりやすい因果関係はない。
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