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論 点 「たばこを規制すべきか」 2009年版
たばこを売りたいのに、売りたくないフリをするタスポの矛盾
[たばこ規制についての基礎知識] >>>

かとう・ひでとし
加藤秀俊 (社会学者)
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▼対論あり

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そもそも自動販売機は無礼である
 わたしはもともと自販機というものが大嫌いである。無礼だからである。
 なぜ無礼かといえば、人間を卑屈にさせるからである。お茶、たばこ、清涼飲料水、その他もろもろ、自販機で物品を買うにあたってはまず硬貨を投入し、商品をえらんでからボタンを押す。そこまではいいのだが、購入者たる人間は機械のずっと下、地面スレスレのところにある取り出し口に手をのばして商品をとらなければならない。背広を着た紳士も、妙齢のご婦人も、みんな身をかがめ、お尻をつきだし、まことにみっともない姿勢で品物をうけとる。あんな物乞いのようなぶざまな格好をさせながら、自販機は機械の分際でデンと構えて、ありがとう、ともいわない。だから無礼だというのである。
 そんなしだいで、わたしはよほどのこと―たとえば列車のホームに売店がないとき―がないかぎり自販機でモノを買うことはしない。コンビニであれふつうの商店であれ、ちゃんと人間が販売しているところで買う。元来、商売というのは売り手と買い手が相対で取引するもの。品物の受け渡しだって当然、手を自然にのばしたときの高さ、つまり一メートルくらいのカウンター越し、というのがふつうであろう。それなのに自販機にはその常識も礼節もない。だから、自販機でモノを買うことはしない。
 それほどに無礼な自販機の一部が、こんどは売ってやるけど、まず身分証明書をみせろ、と権柄ずくな態度をとるようになってきた。いわずと知れた「タスポ」である。生意気にも程がある。ひとをバカにするのもいいかげんになさい。たばこが欲しくなればたばこ屋で買います。むかしからたばこはたばこ屋さんで買うものであった。自販機という無精な簡便法がそもそもオカシイのである。たばこ屋さんならひと箱買うだけでも「ありがとうございます」といってお愛想笑いをしてくれる。タスポなどという奇っ怪なものの提示を求められることもない。だれが自販機なんか使ってやるものか。


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対論!もう1つの主張
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磯村 毅(トヨタ記念病院禁煙外来医師)


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かとう・ひでとし
加藤秀俊

1930年東京都生まれ。東京商科大学(現・一橋大学)卒、同大学院修了。京都大学人文科学研究所に入った後、米ハーバード大学、シカゴ大学、スタンフォード大学などで研究を続ける。大学紛争の渦中で京都大学助教授を辞め、学習院大学教授、文部省放送教育開発センター所長を経て、中部高等学術研究所所長、国際交流基金日本語国際センター所長、日本育英会会長などを歴任。専門は社会学だが、その研究領域は比較文化論、教育論など多岐にわたり、『加藤秀俊著作集』全12巻のほか、多くの著書がある。



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