民主党、社民党が提出を予定している、日本に永住する外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案ついては、国民新党は、連立政権発足当初から反対の意向を示してきたが、民主党内にも慎重論が少なくない。読売新聞が昨年12月に行った意識調査では、民主党議員のうち「賛成」は50%にとどまり、「どちらともいえない」が23%、「反対」は25%という回答だった。
こうした状況を反映して、民主党は昨年8月の総選挙では、マニフェストに外国人参政権問題を盛り込まず、新政権発足後も、鳩山首相は同法案提出に慎重姿勢を見せていた。しかし、小沢一郎幹事長は一貫して積極的で、二の足を踏む政府側に、1月18日から始まる通常国会に政府から同法案を提出するよう督促し、結局、鳩山首相も押し切られるかたちになった。
永住外国人の地方参政権を求める運動は、90年代から在日韓国人をたばねる在日本大韓民国民団が中心になって推進され、90年には、特別永住者である在日韓国人が大阪市選挙管理委員会を相手に、投票権を求める裁判を起こした。これに対して大阪地裁は、「『公務員の選定と罷免は国民の固有の権利』と定めた憲法第15条でいうところの国民とは、日本国籍を有する者のことである」として、「日本国籍を有しない定住外国人の参政権を憲法が保障しているとは認められない」という判決を下した。裁判は最高裁にまで持ち込まれたが、95年3月、最高裁は「参政権は日本国籍を有する国民に限られる」(本論)として原告の上告を棄却した。前述の亀井発言は、この最高裁判決にそったものだ。
ところが最高裁は、傍論として「地方公共団体の長や議会の議員に対する選挙権を付与する措置を講じることは憲法上禁止されているわけではない」とも付け加えた。この傍論は、民団はじめ外国人参政権推進派を勇気づけることになり、これ以後、政党では公明党がもっとも熱心に法案化を推進し、98年には民主党と公明党(当時は新党平和)が共同で永住外国人に地方選挙における投票権を付与する法案を衆議院に提出した。
さらに99年には、自民党(小渕恵三総裁)・自由党(小沢一郎代表)・公明党(神崎武法代表)の三党連立政権の合意のなかに「永住外国人の地方選挙権を三党で議員提案し、成立させる」と盛り込んだ。しかし、自民党内は反対意見が強く、法案成立にはいたらなかった。その後、自民党内では、「参政権がほしければ帰化することが先決」とする小泉純一郎首相らの意見が大勢を占め、公明党が04年、05年に同法案を再度提出したが、いずれも廃案となった。
このように10年越しの議論を経た外国人参政権法案だが、保守層を中心にいまだ反対意見が根強く、最近では、昨年10〜12月の間に秋田、山形、茨城、埼玉、千葉、新潟、富山、石川、島根、香川、佐賀、長崎、熊本、大分と14の県議会が外人参政権反対の意見書を可決している。とくに、韓国では「対馬は韓国領」と主張する人々が増え、実際に対馬の不動産を買いあさっている韓国人がいることもあって、対馬を抱える長崎県は、「参政権が付与されれば、日本の領土である対馬が韓国に乗っ取られる恐れがある」と危機感を募らせている。
これらの問題を憂慮して、(財)国家基本問題研究所(代表・櫻井よしこ)は、昨年9月、(1)国政選挙、地方選挙を問わず、参政権行使は日本国籍を有する者に限定されるべき(2)昭和20年以前より引き続き日本に在留する者とその子孫である特別永住者への配慮は、外国人地方参政権を認めることではなく、特例帰化制度でなされるべきである、という提言を発表している。
ちなみに、韓国ではすでに在韓外国人に地方参政権を付与し、日本にも相互主義で地方参政権を認めるよう要求しているが、在韓永住日本人は100人にも満たない。これに対して在日の特別永住者は約42万人。このうちの99%は韓国籍と北朝鮮籍で占められている。相互主義が成立するには、あまりにアンバランスな現実もある。
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