1000の論客、1000の主張 日本最大の論争データベース『日本の論点PLUS』ついに誕生!!
日本の論点PLUSとは?本サイトの読み方
日本の論点PLUS
執筆者検索重要語検索
フリーワード検索 
検索の使い方
HOME政治外交・安全保障経済・景気行政・地方自治科学・環境医療・福祉法律・人権教育社会・スポーツ
今週の必読・必勝日本を読み解く定番論争議論に勝つ常識一覧
この人の重大発言

写真 「(警戒区域に指定された地域で)非常に高い放射線量のところに関しては、放射線量を下げることができなければ、なかなか帰っていただけないのは、紛れもない事実だ。(帰れない場合の土地の借り上げは)政府が地元の合意を得ずに方針を出すことはない」 (NHKニュース8月22日)
細野豪志・原発事故担当大臣

福島原発事故で警戒区域に指定され、長期間、帰宅が困難になっている一部地域について、原子炉の冷温停止後も警戒区域指定を解除しない方針を決めたことについて、8月22日の記者会見で。

 これまで福島第一原発事故の収束に向けた工程表では、原子炉の冷温停止状態をめざす「ステップ2」が今年秋〜年末までに達成された後、原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」は、解除を検討するとしていた。しかし、「ステップ2」に入った8月、政府は、モニタリング(線量調査)の結果から判断して、年間被曝線量がきわめて高い一部地域については、原子炉の冷温停止後も立ち入り禁止を継続し、何らかの賠償措置を講じる方針を固めた。これについては22日午前、すでに枝野幸男官房長官が記者会見で発表しているが、細野原発事故相の発言は、これを追認、さらに賠償措置としての当該区域の土地の借り上げについて、地元と協議する、という政府の基本方針を再確認したものだ。

 27日には、菅首相自ら福島県を訪れ、佐藤雄平知事と会談。警戒区域の指定が長期にわたって解除できそうにないことを説明し、さらに放射能に汚染された土やがれきを保管する中間貯蔵施設を福島県内につくるよう要請した。席上、佐藤知事は、「突然の話ではないか」と怒りをあらわにし、「非常に困惑している。震災から6カ月間、猛烈に苦しんでいる福島県には重い問題だ」と反発した。またこの会談に先だって、細野原発事故相も、地元自治体との協議会で、放射線の年間被曝量が現在100ミリシーベルトにたっする地域に帰宅できるのには10年、200ミリシーベルトでは20年かかるとの見通しを示した。

 こうした政府の一連の動きは、事故を起こした福島第一原発1〜4号機の冷温停止が工程表どおり実現したとしても、警戒区域内の放射能汚染は、今後、除染作業を逐次おこなってもそう簡単に除去できないと、政府が認めたことにほかならない。

 原発事故で飛散した放射性物質による警戒区域・計画的避難区域の汚染の除去は、現在にいたっても遅々として進んでいない。地元住民が心配するのは、いったん福島県が放射性汚染物質の保管場所に決められてしまえば、そのまま福島県が最終処分場化してしまうのではないか、というおそれだ。警戒区域と計画的避難区域合わせて10万人近い住民がいまだに避難生活を余儀なくされている。帰るに帰れず、かといって別の場所への移住もままならない住民の焦燥感は、強まる一方だ。

 菅首相は、放射能で汚染された土やがれきの保管について、福島県を最終処分場にする考えのないことを強調したが、これら汚染物質の最終処分の方法、保管場所などの目途はまったくついていない。

 文部科学省が19日に発表した警戒区域の積算被曝線量の推計では、もっとも高かった同原発の西南西3キロの大熊町小入野で、年間508ミリシーベルトに達し(国際放射線防護委員会で決められた1年間の被曝限度量は1ミリシーベルト)、50地点のうち15地点で、年間100ミリシーベルトを超えた。これは計画的避難区域を指定する際の目安としている年間20ミリシーベルトを大きく超えている。

 じっさい政府内では、水素爆発で放射能が飛散していらい、半径3キロ圏内の双葉町や大熊町などの一部地域は、除染をしても、人が住める環境になるまでには10年以上かかるという見方が、強まっていた。放射性セシウム137の半減期は30年。ということは、何もしなければ30年たったとしてもまだ半分が土壌に残留することになる。

 1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリでは、事故後、当時のソ連政府が半径30キロ圏内を「強制避難区域」に指定し、住民13万5000人を一週間かけて強制移住させた。しかし、あれから25年たった現在も、原発事故の起きた地域は立ち入り禁止のままだ。強制的に移住させられた住民は、チェルノブイリから50キロ離れたスラブチチという移住者のために建設された町やウクライナの各都市で暮らしている。福島県の放射能汚染地域がたどろうとしている道も、まさに同じ道に近い。



関連論文

筆者の掲載許可が得られない論文はリンクしていません。
96年以前の論文については随時追加していきます。ご了承ください。

私の主張
(2011年)ピークアウトを迎える石油──原子力+太陽光=無炭素への転換を急げ
松井賢一(国際エネルギーアナリスト)
(2011年)「原子力妄想」から目醒め自然エネルギーによる第三の産業革命を目指せ
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)
(2010年)放射性廃棄物をどうする――温暖化防止と原発増設の大矛盾を告発する
西尾 漠(原子力資料情報室共同代表)
(2010年)原子力共存の時代――原発の解体・建設に過度の不安は無用
榎戸裕二(原子力研究バックエンド推進センター情報管理部長)
(2009年)原子力は最も持続可能なエネルギー源として期待できる
田中 知(東京大学大学院教授)
(2009年)原子力への過剰な傾斜が、自然エネルギーへの転換を阻んでいる
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)
(2008年)原発の耐震指針を直ちに再改訂し、審査の手順と体制を抜本的に見直せ
石橋克彦(神戸大学都市安全研究センター教授)
(2006年)警戒!! 東海大地震――予想震源域の中心に建つ浜岡原発は即刻停止せよ
茂木清夫(東京大学名誉教授、地震予知連絡会前会長)
(2005年)核燃料サイクルは不可欠な電力資源――妨害こそコストの浪費である
上坂冬子(作家)
(2005年)核燃料再処理は電力会社の自己責任で判断すべき。国は事業から撤退せよ
八田達夫(国際基督教大学国際関係学科教授)
(2003年)狂信的なプルサーマル必要論――東電事件をエネ政策の転換点にせよ
飯田哲也(日本総合研究所主任研究員)
(2003年)いまプルサーマルをやめれば将来のエネルギー安定確保は困難になる
藤家洋一(東京工業大学名誉教授)
(2002年)原子力の時代は終わる。自然エネと電力自由化でエネ政策の近代化を図れ
飯田哲也(日本総合研究所主任研究員)
(2002年)自然エネルギー利用は非現実的――次世代原発の開発が世界の趨勢
澤田哲生(東京工業大学原子炉工学研究所助手)

議論に勝つ常識
(2011年)[ポスト石油エネルギーについての基礎知識]
[基礎知識]石油依存からの脱却は可能か?
(2010年)[原発についての基礎知識]
[基礎知識]原発推進と処分場の関係はどうなっているか?
(2009年)[エネルギー政策についての基礎知識]
[基礎知識]原発の今日的な課題とは何か?
(2008年)[原発震災についての基礎知識]
[基礎知識]原発はどれくらいの地震に耐えられるのか?
(2006年)[原発震災についての基礎知識]
[基礎知識]全国で相次ぐ大地震――危機管理は万全か?
(2005年)[核燃料サイクルについての基礎知識]
原発が排出し続ける使用済み核燃料をどうするか?
(2003年)プルサーマル計画についての基礎知識
[基礎知識]頓挫した核燃料サイクル計画――今後の行方は?
(2002年)電力自由化と原発政策についての基礎知識
電力自由化時代――原発開発は必要か否か?



バックナンバー


▲上へ

Copyright Bungeishunju Ltd.