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生体の科学 ISSN 0370-9531 (Print) ISSN 1883-5503 (Online) 59巻5号(2008.10)P.354-355(ISID:2425100511)

特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
1.細胞生物学
染色体の形作りとコンデンシンの役割

小野 教夫 1

※1 理化学研究所基幹研究所平野染色体ダイナミクス研究室


●染色体構築の分子基盤
 真核生物細胞が分裂期にはいると,間期では核に納められていたゲノムDNAは棒状の染色体へと構造変換を遂げる。細胞が分裂・増殖するときDNAは必ず「染色体」という構造変換を経て分配されることから,染色体の構築は基本的かつ重要な生命活動のひとつであるといえる。しかし,どのようにして間期核のクロマチンから分裂中期の,姉妹染色分体をもった染色体が構築されるのかという点については,これまでほとんどわかっていなかった。
 この課題を解く糸口となった因子が,この10年で解析が大きく進んだコヒーシンとコンデンシンである1,2)。これらは構造的によく似ており,どちらもコアサブユニットとしてSMC(structural maintenance of chromosome)タンパク質をもつ複合体である。SMCタンパク質はchromosomal ATPaseファミリーに属し,細菌からヒトまで保存されており,ヒストンの起源より古い。このことは,遺伝情報分配の基本的なしくみが広く生物界で共通していることを示唆している。コヒーシンはS期に複製された染色体DNAの接着を確立し,M期まで姉妹染色分体の接着を維持するほか,遺伝子の転写制御にも関与しているらしい。ヒトでのコヒーシンの制御因子の異常は,Cornelia de Lange症候群などの先天性疾患を引き起こすことがわかっている。一方,コンデンシンは分裂期染色体を凝縮させる因子であると考えられてきたが,コヒーシンと比較すると,その役割は必ずしも明確ではなかった。最近になって,高等真核生物は二種類のコンデンシン(コンデンシンIとコンデンシンII)をもつことが明らかとなり,この分野の研究が大きく進展しつつある3)


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