●アカガエル
脊椎動物門 両棲綱 無尾(むび)目 アカガエル科


アカガエル


●分布

北海道、本州、四国、九州に生息している。


アカガエル類分布図
アカガエル類


●種

日本には33種のカエルが生息している。また世界には2600種のカエルがいる。アカガエル科にはトノサマガエル、ダルマガエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエルなどがいる。また多く見られるカエルのひとつにアマガエル科のニホンアマガエルがいる。


ニホンアマガエル
ニホンアマガエル


●どこから手に入れるか
2月から3月にかけてが産卵期なので、水田や流れのゆるやかな川、水たまりで卵の固まりを採集してくる。またその後はオタマジャクシを採集してくる。


アカガエルなどの生息環境
アカガエルなどの生息環境


●必要なもの
水そう、砂利(じゃり)、石、金網(かなあみ)のふた
●あったらいいもの
温度計、エアーポンプとエアーストーン

飼育道具イラスト


●オタマジャクシは簡単
卵を採集してきてふ化させるのは、さほどむずかしくはない。水がよごれないようにしていれば、産卵後2週間から3週間でふ化する。ふ化したオタマジャクシは水そうで簡単に飼うことができる。

●カエルになると
オタマジャクシは、後ろ脚(あし)が出て前脚が出るころになると水中での生活から陸上生活に変わっていく。つまりえら呼吸から肺呼吸に変わる。オタマジャクシに比べて飼育がむずかしくなる。


●オタマジャクシのすまいづくり
オタマジャクシは水の中の酸素をえらで体の中に取り込むので、小さな水そうなどで飼うときにはエアーレーションが必要になる。しかし、魚類に比べると条件が悪くても生きていける。水そうに水草などを入れておくと水草に止まっていたり、えさが少ないときには水草を食べる。

●カエルのすまいづくり
オタマジャクシからカエルに変態するときには、水そうの水から上に出るように石を置くか、ホテイアオイなどの水面にうく水草を入れる。


オタマジャクシ
オタマジャクシ


●オタマジャクシのえさ
オタマジャクシは動物質、植物質の両方を食べる。またごはんやパンなども食べるので飼いやすい。肉などは水に脂(あぶら)がうくので、とり肉のささ身がいいだろう。またしらす干しも水がよごれにくい。水草を入れておくと、えさを入れ忘れても水草の葉を食べるので便利だ。キンギョやメダカ、カメ、ザリガニなどの配合飼料もえさになる。


オタマジャクシの口
オタマジャクシの口

●カエルのえさ
カエルはハエやカなどの小さな昆虫を食べる。オタマジャクシからカエルになったばかりではトビイロケアリなどのとても小さなアリがえさになる。ショウジョウバエは簡単に増やすことができるので便利だ。ショウジョウバエの飼育セットを水そうの中に入れておく。

●ショウジョウバエの飼育
ビンなどの容器に傷んだバナナやメロンの皮などを入れ、ふたをせずに放置しておくとショウジョウバエが集まってきて産卵する。ショウジョウバエの卵は1日でふ化し、幼虫の期間は3〜4日、サナギも3〜4日だから、産卵から1週間ほどで成虫になる。



メロンに集まるショウジョウバエ
メロンに集まる
ショウジョウバエ
ショウジョウバエ
ショウジョウバエ


●えさのあたえかた
オタマジャクシは常に食べているか休んでいるかなので、できるだけくさりにくいものを常に入れておくと成長が早い。えさが不足すると先にふ化したオタマジャクシが卵を食べてしまうこともある。



●水かえは水がよごれたら
オタマジャクシは多少水が悪くなっても生きていけるので、水かえは魚類ほど神経質になる必要はない。またオタマジャクシは肉食の魚やイモリ、アホロートルなどのえさになるので、いっしょに飼わないようにする。


●弱いオタマジャクシの皮ふ

オタマジャクシの皮ふはうろこでおおわれている魚とちがい、粘膜(ねんまく)なので弱く傷つきやすい。傷ついたオタマジャクシは共食いされることもある。



●池で飼うのが簡単
小さな池でもアカガエルやヒキガエルなどのカエルは産卵してくれる。カエルはいつもは水辺や湿った草むら、植木鉢の下などにいる。産卵の時期になると、自分の生まれ育った池にもどってきて、オスはメスがやってくるのを待ち受ける。メスは池の中に卵を産み、また陸に上がっていく。オタマジャクシはカエルになると、池から上がって地上で生活し、つぎの年には生まれ育った池にもどってくる。つまり、卵やオタマジャクシを採集してきて池に放すことにより、そこがカエルのふるさとになるのだ。



●卵の発生を観察しよう
カエルの卵を水そうに入れ、発生のようすや、オタマジャクシの成長していくようすを観察してみよう。とくに水中生活から陸上生活に変化する時期にどのようなことが起こるかも興味深い。


アカガエルの卵
アカガエルの卵
産卵2週間ぐらいでだるまのようになる
産卵2週間ぐらいでだるまのようになる
オタマジャクシの後ろ脚ができ始める
オタマジャクシの後ろ脚ができ始める

ふ化後3〜4週間
ふ化後3〜4週間
オタマジャクシの後ろ脚のアップ
オタマジャクシの後ろ脚のアップ
オタマジャクシの後ろ脚が伸びた
オタマジャクシの後ろ脚が伸びた

ふ化後5週間ぐらいで前脚部分がふくらんできた
ふ化後5週間ぐらいで前脚部分がふくらんできた
体内の前脚が見える
体内の前脚が見える
オタマジャクシの前脚が出る
オタマジャクシの前脚が出る

オタマジャクシの前脚が出る
オタマジャクシの前脚が出る
オタマジャクシからカエルへ
オタマジャクシからカエルへ
オタマジャクシからカエルへ
オタマジャクシからカエルへ

オタマジャクシからカエルへ
オタマジャクシからカエルへ
オタマジャクシからカエルへ
オタマジャクシからカエルへ
カエルになった
カエルになった


●雨とカエル
カエルは昔から人々の生活に近い動物だった。それは日本の農業が水田でのイネつくりが中心だったからだろう。農薬が使われる前までの水田には、おそらくたくさんのカエルがすみくらしていたにちがいない。また人々はカエルを天気予報に利用していた。気圧の変化に敏感で、雨が近づくと「ゲッゲッゲッゲッ」と鳴く。これを繁殖(はんしょく)のときの声「メーティング・コール」と区別して「ウェザー・コール」と呼んでいる。


梅雨に似合うアマガエル
梅雨に似合うアマガエル