●カワニナ
軟体動物門 腹足綱 中腹足(ちゅうふくそく)目 カワニナ科


カワニナ


●分布

北海道南部から沖縄県までの河川、湖やぬまに生息している。


カワニナ分布図



カワニナの生息環境
カワニナの生息環境


●種

カワニナのほかにヤマトカワニナ、タケノコカワニナなどがいる。また同じ淡水性の巻き貝にはモノアラガイやヒメタニシ、マルタニシ、サカマキガイがいる。



モノアラガイ(左)とサカマキガイの足側
モノアラガイ(左)とサカマキ
ガイの足側
モノアラガイ(左)とサカマキガイの背側
モノアラガイ(左)とサカマキ
ガイの背側


●どこから手に入れるか
河川や湖やぬまの岸近くの水底などを引くように網(あみ)を動かすと、中に入っていることがある。小石やどろ底の川より、水田のコンクリートで固めた農業用水路のかべについているものは網でとりやすい。

●流れの強い用水路は危険
小川のようなゆるやかな流れの川だったらよいが、用水路のなかには水量が多く、流れが強い場所もある。そのような場所での採集は危険だから、おとながいっしょでも近づかないこと。またこどもだけでの水辺の採集は危険なので絶対にしてはいけない。

●運びかた
短い時間だったらバケツでも運ぶことができる。水の中にとけている酸素が少なくなると、カワニナは水面の上まではい出してくる。長時間の移動の場合は、発泡(はっぽう)スチロールのクーラーボックスに電池式のエアーポンプとエアーストーンで空気を送り続けながら運ぶとよいだろう。



●必要なもの
水そう、エアーポンプ、エアーストーン、細かい砂利(じゃり)、水草、ガラスのふた

飼育道具イラスト

ホタルの幼虫のえさとして飼育する場合や長期間の飼育を目指すのであれば、大きい水そうに外部ろ過装置を設置して飼育するほがいいだろう。




●似ているが似ていないモノアラガイやサカマキガイ
カワニナとモノアラガイ、サカマキガイは同じ淡水性の巻き貝で似ているが、実際には大きな相違点がある。モノアラガイとサカマキガイは水中にすんでいるが、えらで呼吸するのではなく肺で呼吸している。だから飼育する場合はエアーレーションの必要がないのでカワニナより飼いやすい。カワニナやタニシはエラで水中にとけている酸素を吸収して生きている。だから飼育するときにはエアーレーションが必要なのである。またカワニナは水そうの中に流水をつくり出してやったほうが長生きする。


ガラス面をはうサカマキガイ
ガラス面をはうサカマキガイ


水そうに細かい砂利(じゃり)を数センチの厚さにしく。砂利がなければ砂でもかまわない。水草を入れ、ふたをする。



●えさの種類
魚用の配合飼料(つぶ状のものか粉にしてあたえる)、プレコ用のえさのように草食の魚用の配合飼料が望ましい。

●えさのあたえかた
1日1回か2回、粉にしたえさを少量ずつまく。



熱帯魚用配合飼料
熱帯魚用配合飼料
プレコ用配合飼料
プレコ用配合飼料



●そうじ
水質が悪くなる前に水かえを行うが、水かえより外部ろ過にして多くの水量の中で飼うほうが安定する。夏などは1月に1回ぐらい水かえをする。



●オスとメスをいっしょに飼うだけ
カワニナのオスとメスは見分けるのがむずかしい。メスは活動しなくなる冬以外が繁殖期(はんしょくき)のようだが、特に目立った繁殖期がないようだ。カワニナやタニシは子貝の形で生む卵胎生(らんたいせい)だ。だから朝水そうを見たら小さな貝がたくさんいるということもある。サカマキガイやモノアラガイは水そうの水面より上の部分や水草の上などに産卵する。卵はゼリー状のものに包まれていて、なかで貝が発生するのがわかる。



●カワニナの食べかた
カワニナの口はやわらかく、物をかじるのではなく、なめるように食べていく。水そうのガラス面にコケが生えているとこれを食べるようすを観察することができる。また野外では死んだ魚、水草など食べる雑食性だ。



●サカマキガイVSモノアラガイ
モノアラガイはもともと日本にいた貝だが、サカマキガイは熱帯魚といっしょに日本に持ち込まれた帰化動物だ。モノアラガイとサカマキガイは形がよく似ているが、よく見ると貝の巻きかたはモノアラガイが右巻き、サカマキガイは左巻きでちがっている。またモノアラガイのほうが大きくなる。体は小さくてもサカマキガイのほうが食欲がおうせいでモノアラガイの卵やこどもを食べてしまう。またよごれた水に強いのはサカマキガイのほうだ。だから最近はモノアラガイがサカマキガイに追いやられてしまう傾向がある。