権藤博 吉井理人ほか 今年もたくさんクビになりました 人にものを教えるのはかくも難しい
プロ野球コーチ 利口はやらないけどバカにはできない仕事
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| ■名コーチはなぜ退団したか |
■監督とは立場が違う |
| ■「邪魔しない」ことが難しい |
■「考える習慣」が大切 |
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| 「名コーチ」と言われて、何人の名前が浮かぶだろう。「名監督」や「名選手」と比べれば、連想される数はうんと少ないはずだ。だが彼ら、「球界の中間管理職」がいなければどんなチームも回らない。 |
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名コーチはなぜ退団したか
「特別なことはする必要がないんですよ。極論、選手にとってはコーチっていなくてもいいんですから」
今季限りで日本ハムの投手コーチを退任した吉井理人氏は、コーチという仕事について、こう表現する。
横浜やヤクルト、巨人などで30年以上コーチを務めた小谷正勝ただかつ氏は、その職について、
「コーチ業っていうのは、『利口はやらぬが、バカにはできない仕事』って言われる。うまく言い表した言葉だと思います。特にバカにはできない、ってところに考えさせられるものがありますよ」
と語る。プロ野球においてコーチとは、それほど「労多くして……」な職業なのだ。
「監督とは意見が対立するところがあった。僕が邪魔になるなら辞めよう、ということです」
吉井氏の退団劇は、会見での吉井氏の発言とともに、各メディアで〈監督との確執が原因か〉と取り上げられた。
日本ハムが巨人に敗れ、日本一を逃した日本シリーズ第6戦の翌日(今月4日)、それぞれオリックス、ロッテに移籍する福良ふくら淳一ヘッドコーチ、清水雅治外野守備走塁コーチの「転職」とともに、吉井コーチの退団も発表された。
吉井氏は、'08年のコーチ就任以降、ダルビッシュ有(現レンジャーズ)をはじめ、宮西尚生なおき、増井浩俊ら、日本ハム投手陣の育成と整備に尽力し、その指導力は他球団からも高く評価されていた。
「僕は、選手側に寄り過ぎていたのかもしれません」
吉井氏は、自身のコーチとしてのスタンスをそう言い表し、本誌の取材中、
「反省している」
と、しきりに語った。今回の「退任」は、吉井氏から申し出たものだ。
「報道にあったように、監督との間に、いわゆるケンカや確執があったわけでもありません。シーズン中、選手の使い方について、何度か意見をぶつけることがあっただけです。でも『対立』という言葉は使うんじゃなかった。野手出身の監督と僕では意見の相違があるのは当然のことですし、チームをよくするためには、議論があったほうがいいわけですからね」
実際の問題は、監督との意見の相違そのものではなく、「選手に不安を抱かせてしまったことだ」と、吉井氏は言う。
「僕らの関係がどう伝わったのか、まるで『二人には確執がある』かのように、投手陣に誤解を与えてしまった。いったんそういう意識が植え付けられると、いくら『大丈夫』と説明しても、不安は完全には払拭できない。なら、僕が身を引こうとなったんです」
コーチとしての吉井氏は、監督に継投策を提案する時も、選手に指導を行う時も、すべては「選手が気持ちよくプレーできること」を、最重要視した。それはコーチに就任した時から変わらない信念とも言える。
しかし、今季になって初めて、吉井氏は、「選手至上主義」とも言える考えが、チームという組織のなかでは、時に自分の行動を硬直化させてしまうことに気づかされた。
今季、「選手の誤解」を生んだ栗山英樹監督と吉井氏の議論の中心は、その大半が、投手の起用法についてだったという。
「『選手を大切にする』という信念に固執しすぎて、監督にも『絶対こうするべきです』という口調であたってしまった。コーチを『中間管理職』と考えるなら、監督の考えを、選手に納得させるのもコーチの仕事ですよね。僕はそれができてなかった。大いに反省すべき点です」
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