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Top > 特集記事 > 芸能・スポーツ > 2013.1.7
週現スペシャル 2013年新春版 有名スポーツ選手たちの苦悩と悔恨
「一流かどうかは才能なんかじゃない、心の強さなんです」
■「これで終わった」自分の心が折れた瞬間 ■なぜ与四球がゼロなのか
■寮の2階から飛び降りた ■何のためにここにいるのか
■気持ちは整理できるのか ■「メンタルが壊れても、復活できる人できない人」
■酒を飲んでマウンドへ ■五輪で「失速」した後に
■自由に手が動くまで4年  
桑田、松坂など例外はあるが、甲子園優勝投手で大成した者はほとんどいない。誰もが認める才能の持ち主が、花を咲かせられないのはなぜなのか。失意のアスリートたちが口にしたのは「心」だった。
【第1部】プロ野球のドラフト1位たちが告白
「これで終わった」自分の心が折れた瞬間

なぜ与四球がゼロなのか
「高校野球史上、最も美しい」と絶賛されたオーバースローのフォームを、プロ入り3年目でスリークォーターに改造。これが彼の投手生命を絶った。

「コーチの勧めで変えたのですが、体に負担がかかっていたらしく、二軍での試合中にブチッと音がして、軟骨剥離を起こしてしまったのです」

 そう語るのは'86年、ほとんど無名だった東亜学園(西東京)を2年生エースとして甲子園に導いた川島堅(43歳)だ。

 この年こそ初戦で米子東に敗れたが、翌年は堂々ベスト4入り。34回3分の2イニング連続無四死球という抜群の制球力が光った。

 '88年、ドラフト1位で広島に入団。将来のエースとして期待されたが、冒頭のケガの影響は大きく、7年間で1勝どまり。'94年、球界を去っている。

 抜群のコントロールを誇ったあの美しいフォームを、なぜ川島は抵抗することなく捨てたのか。

「人が良すぎると言われるかも知れませんが、当時、私はまだ20歳。自分の意見は言えなかった」

 インタビュー中、こんな場面があった。甲子園とプロの一軍戦で計112回を投げて、一つもデッドボールを出していないことを指摘すると、本人は記者に逆質問したのである。

「死球がゼロ? 本当ですか? 厳しく攻めなくてはいけないことはわかっていましたが、当ててはいけないとも思っていました。プロには、故意に当てにいっているように見える人もいます。だから僕は、『気が弱い』と思われていたのかも知れませんね……」

 オープン戦で、自軍のコーチに「ぶつけてこい!」と指示されたこともあった。

「根性を見せろ、と言いたかったんだと思います」

 だが、川島はそれがわかっていながら、ストライクしか投げられなかった。

 フォーム改造を指示したコーチへの恨み言は言わない。そのコーチの名前さえ口にしない。

「一人っ子だったからか、子供のころからノンビリしていました」

 という心優しき男は、チームの言いなりになった末の戦力外通告にも抗議することなく、静かにユニフォームを脱ぐのであった。

 引退後すぐ、3年制の専門学校に入ると、柔道整復師の国家資格を取得。現在は小平市(東京)で整骨院の院長を務めている。

「第二の人生もダメだったとは言われたくありませんからね」

 アマチュア野球の指導を頼まれることもあるが、すべて断っている。

「僕はプロで活躍できなかったので、恥ずかしい気がするんです」

 オリックス時代、どれだけコーチに口を挟まれようが、イチローは振り子打法を止めなかった。川島にあの美しいフォームを押し通し、必要とあらば故意に死球を出す強引さがあれば、まったく違った未来があったのかもしれない。

 そしてもう一人、超高校級の実力を持ちながら、プロで発揮できなかった男を紹介しよう。

 海星高(長崎)のエース・酒井圭一(54歳)が一躍、注目を集めたのは'76年夏。県大会3回戦で先頭打者からの16連続を含む18三振を奪うと、甲子園でも5試合で40奪三振という快投を見せたのだ。当時流行っていたネッシーにあやかり、サッシーと名づけられた酒井はヤクルトがドラフト1位指名。だが、プロでは主に中継ぎで起用され、13年間の通算成績は6勝12敗、4セーブ。怪物は大暴れできぬまま現役を終えた。

「先発で使ってもらえなくなっても、『いいピッチャーが出てきたし、俺は中継ぎで投げられているからいいや』と、諦めていました。何でもっとアピールしなかったのか、自分が歯痒いですよ。九州人はガツガツせず諦めが早い。これは、後で気付いたことですけどね。対照的なのが、個性が強い大阪の選手。ヤクルトは東京のチームなのに、飛び交っていたのはほとんど関西弁でした(笑)」

 打撃投手を経て、九州地区担当のスカウトに就任。そこで発見があった。沖縄の選手がチーム内で仲良くしているのを見て、「コイツを追い越してやろうと、なぜ思わん」と叱咤したくなったとき、昔の自分を見ているような気になったのだ。














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