週現スペシャル 2013年新春版 有名スポーツ選手たちの苦悩と悔恨
「一流かどうかは才能なんかじゃない、心の強さなんです」
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| ■「これで終わった」自分の心が折れた瞬間 |
■なぜ与四球がゼロなのか |
| ■寮の2階から飛び降りた |
■何のためにここにいるのか |
| ■気持ちは整理できるのか |
■「メンタルが壊れても、復活できる人できない人」 |
| ■酒を飲んでマウンドへ |
■五輪で「失速」した後に |
| ■自由に手が動くまで4年 |
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| 桑田、松坂など例外はあるが、甲子園優勝投手で大成した者はほとんどいない。誰もが認める才能の持ち主が、花を咲かせられないのはなぜなのか。失意のアスリートたちが口にしたのは「心」だった。
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【第1部】プロ野球のドラフト1位たちが告白
「これで終わった」自分の心が折れた瞬間
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なぜ与四球がゼロなのか
「高校野球史上、最も美しい」と絶賛されたオーバースローのフォームを、プロ入り3年目でスリークォーターに改造。これが彼の投手生命を絶った。
「コーチの勧めで変えたのですが、体に負担がかかっていたらしく、二軍での試合中にブチッと音がして、軟骨剥離を起こしてしまったのです」
そう語るのは'86年、ほとんど無名だった東亜学園(西東京)を2年生エースとして甲子園に導いた川島堅(43歳)だ。
この年こそ初戦で米子東に敗れたが、翌年は堂々ベスト4入り。34回3分の2イニング連続無四死球という抜群の制球力が光った。
'88年、ドラフト1位で広島に入団。将来のエースとして期待されたが、冒頭のケガの影響は大きく、7年間で1勝どまり。'94年、球界を去っている。
抜群のコントロールを誇ったあの美しいフォームを、なぜ川島は抵抗することなく捨てたのか。
「人が良すぎると言われるかも知れませんが、当時、私はまだ20歳。自分の意見は言えなかった」
インタビュー中、こんな場面があった。甲子園とプロの一軍戦で計112回を投げて、一つもデッドボールを出していないことを指摘すると、本人は記者に逆質問したのである。
「死球がゼロ? 本当ですか? 厳しく攻めなくてはいけないことはわかっていましたが、当ててはいけないとも思っていました。プロには、故意に当てにいっているように見える人もいます。だから僕は、『気が弱い』と思われていたのかも知れませんね……」
オープン戦で、自軍のコーチに「ぶつけてこい!」と指示されたこともあった。
「根性を見せろ、と言いたかったんだと思います」
だが、川島はそれがわかっていながら、ストライクしか投げられなかった。
フォーム改造を指示したコーチへの恨み言は言わない。そのコーチの名前さえ口にしない。
「一人っ子だったからか、子供のころからノンビリしていました」
という心優しき男は、チームの言いなりになった末の戦力外通告にも抗議することなく、静かにユニフォームを脱ぐのであった。
引退後すぐ、3年制の専門学校に入ると、柔道整復師の国家資格を取得。現在は小平市(東京)で整骨院の院長を務めている。
「第二の人生もダメだったとは言われたくありませんからね」
アマチュア野球の指導を頼まれることもあるが、すべて断っている。
「僕はプロで活躍できなかったので、恥ずかしい気がするんです」
オリックス時代、どれだけコーチに口を挟まれようが、イチローは振り子打法を止めなかった。川島にあの美しいフォームを押し通し、必要とあらば故意に死球を出す強引さがあれば、まったく違った未来があったのかもしれない。
そしてもう一人、超高校級の実力を持ちながら、プロで発揮できなかった男を紹介しよう。
海星高(長崎)のエース・酒井圭一(54歳)が一躍、注目を集めたのは'76年夏。県大会3回戦で先頭打者からの16連続を含む18三振を奪うと、甲子園でも5試合で40奪三振という快投を見せたのだ。当時流行っていたネッシーにあやかり、サッシーと名づけられた酒井はヤクルトがドラフト1位指名。だが、プロでは主に中継ぎで起用され、13年間の通算成績は6勝12敗、4セーブ。怪物は大暴れできぬまま現役を終えた。
「先発で使ってもらえなくなっても、『いいピッチャーが出てきたし、俺は中継ぎで投げられているからいいや』と、諦めていました。何でもっとアピールしなかったのか、自分が歯痒いですよ。九州人はガツガツせず諦めが早い。これは、後で気付いたことですけどね。対照的なのが、個性が強い大阪の選手。ヤクルトは東京のチームなのに、飛び交っていたのはほとんど関西弁でした(笑)」
打撃投手を経て、九州地区担当のスカウトに就任。そこで発見があった。沖縄の選手がチーム内で仲良くしているのを見て、「コイツを追い越してやろうと、なぜ思わん」と叱咤したくなったとき、昔の自分を見ているような気になったのだ。
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