新シリーズ「日本一を決めよう」 美空ひばりか、ちあきなおみか、沢田研二か、それとも松田聖子か
日本で一番歌がうまいのはこの人だ
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| ■歌唱力をとるか情念をとるか |
■中島みゆきに涙する |
| ■尾崎の声は国宝級 |
■桑田の歌はなぜ泣けるのか |
| ■「声そのものの才能で選ぶなら」 |
■心に突き刺さる歌声 |
| ■「うまさ」と「きらめき」 |
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| あらゆるものの「日本一」を決める新シリーズ、記念すべき第1弾は、誰もが気になる「一番歌がうまい人」。音楽界の一流識者が16人集まり、熱い議論を繰り広げる。見事1位に輝く歌手の名前は!? |
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歌唱力をとるか情念をとるか
「歌というものは、キレイ事ではなく、歌手それぞれが名人なんです。その人にしか出せない声があり、うまいヘタを決めるのは難しい。たとえば坂本九さんと北島三郎さんでは、声質が違いすぎて、お互いの持ち歌を交換して比べることができませんからね。
ただ、聴く人誰もの心を揺さぶる歌声があるのも、また事実です」
歌手で作曲家のつのだ☆ひろはそう語る。
一億総カラオケ時代だからこそ、人々の心をとらえる「本物の歌声」に誰もが惹かれる。
だが、こんな根本的な疑問が、これまで解消されたことはなかった。
「一体、日本で一番歌がうまいのは誰なのか」
思い浮かぶ名前はある程度重なっても、順位をハッキリつける試みは、長い歌謡史においてもなされたことはない。
そこで本誌は、「プロ」として歌にかかわる専門家に意見を求め、前代未聞の試みに挑むことにした。
現役歌手、作曲家、作詞家、音楽プロデューサーから歌番組のテレビマン、ラジオDJまで、いずれも歌に一家言を持つ選者ばかり16人を招集(上表参照)。彼らにうまいと思う歌手と理由を挙げてもらい、その評価を数値化して集計した。そうして完成したのが、下記からのランキングである。
選者たちはなぜ、この人たちを選んだのか。女性編、男性編に分けて理由を訊いていこう。
まず女性編1位。圧倒的支持を受けたのは、やはりこの人だった。
「美空ひばりです。声の立ち上がり、音楽用語で『アタック』と呼ぶのですが、その精密さが段違い。だからこそ、聴く人の耳にパッと声が飛び込んでくる」(佐久間正英)
「『お祭りマンボ』のように楽しい歌もあれば、『悲しい酒』のように目力が求められる悲しい歌もある。『川の流れのように』『愛
燦燦』といった朗々と歌い上げる大きな歌もある。
多様な楽曲を、あるときは少女のように、あるときは妖艶に、まさに七変化のように歌いこなす。名コックのように、どんな素材でも見事に調理してみせるんです」(平尾昌晃)
ひばりの凄みは、それが「天賦の才」だと誰もが口を揃えるところだ。
「お嬢(ひばり)は紅白でも別格でした。リハーサルなし、ぶっつけ本番でも一発で音を合わせる。天才ですよ」(山川静夫)
「英語の歌でも外国人を納得させるくらいの発音で歌う。どんな歌でも歌えてしまう。間違いなく昭和最高の歌手です」(来生えつこ)
ひばりの「飛び抜けた歌唱力」に拮抗する評価を得た歌手がいる。情念の歌い手・ちあきなおみだ。
織田哲郎が言う。
「『歌がうまい』という力には、譜面に表された音楽をきちんと歌える『コントロール能力』と、その人の奥のほうにある感情で聴く人の心を動かす『伝える能力』の二つがあって、僕は後者が主で前者が従だと考えている。
ちあきさんは実は技巧的にもうまいんだけど、声とか背負っているもの、つまり後者のほうにすごく強い力がある。もし総合点をつけるなら、僕の中では1位かもしれない」
平尾もちあきを「マイベスト5」に挙げた。
「僕がうまいと認める歌手には条件があって、まず音程がいいこと、次にひばりさんのように、気取らず自然体に歌えること、さらに口先ではなく身体全体で歌うこと。第四の条件が、言葉。言葉の表情とかニュアンスとか説得力を表現できることがすごく重要だと思うのです。
ちあきさんは、この第四の要素で他を圧している。たとえば『喝采』を聴いただけで、捨てた町、愛する人との死別などの情景が浮かんでくるのは、彼女の歌の力です」
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