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Top > 特集記事 > 芸能・スポーツ > 2013.3.18
大人の野球は奥が深い
WBC 井端 鳥谷 牧田 これが本物のサムライたちだ
■絶対に心は折らない ■誰が盗塁の決断をしたのか
■チームのメンタルを支える ■日本人ならではの技術
どんな状況でも変わらぬクォリティ、リスクを取れる自信と技術。職人技に人は惹きつけられる。2次ラウンドで3戦連続視聴率30%超えを果たした、世界に誇る日本野球の奥深さをレポートしよう。

絶対に心は折らない
 ギリギリの試合で結果を出せるのは「本当に実力がある選手だけ」である。今回のWBC日本代表チームを見ていると、それを強く実感させられる。

 では「本当の実力」とは何なのか。

 WBC予選1次ラウンド初戦のブラジル戦。エースの田中将大(24歳)が早々に攻略され、異様なムードのまま迎えた8回1死二塁の場面で、同点タイムリーを放った井端弘和(37歳)はその好例だろう。

 予選ラウンドの成績は打率5割7分1厘、出塁率6割8分4厘。「井端様」と呼ばれるのにふさわしい神がかり的な数字だが、山本浩二監督は当初、彼を「控え選手」としてしか見ていなかった。それはWBC代表合宿直前、指揮官が井端にかけたこんな言葉に顕著にあらわれている。

「ショートだけじゃなく、サードもセカンドもファーストも守ってくれ」「4番でキャッチャーという重責を担う阿部慎之助の代わりに内野陣を見てやってくれ」

 ちなみに井端、ファーストは未経験である。坂本勇人ら他の内野手と競わせるつもりがないことは明白だったが、彼は愚痴ひとつこぼさず、真新しいファーストミットを携えてチームに合流するのであった。いぶし銀はいかにしてモチベーションを保ったのか。

「井端は'97年、ドラフト5位で中日に入団していますが、『誰でもいいから守りの上手いやつを獲れ』という星野仙一監督の要望に応えた指名だった。つまりその程度の評価でしかなかったのです。一軍に上がるため、彼が磨いたのがファウルを打つ技術でした。いわく、『厳しいボールを確実にファウルし続けられれば、そのうち甘いタマが来る。あるいは四球で出塁できる。これができなければ打撃力のない自分は生き残れない』。コツはバットのヘッドを返さないことだそうですが、この技術を磨くことによって、彼の十八番である芸術的な右打ちが身についた。ちなみに今も井端は打撃練習の際にファウルを打つ練習をしています。ファウルならいつでも、何球続けてでも打てるんだそうです」(中日番記者)

 球数制限のあるWBCでは、井端のようなバッターは最も嫌がられる。粘られるのを嫌った相手方がストライクゾーンに投げ込んできた「甘いタマ」を、井端は逃さずとらえた。あれは、ファーム時代から磨き上げてきた技術で打った同点打だったのである。

 日本代表チームは「地味な守備の人」井端にとって、なかなか手が届かない場所でもあった。

 '04年、アテネ五輪日本代表、いわゆる長嶋ジャパンのメンバーに選ばれたものの、最終予選後に代表落ち。その後、ペナントレース優勝を至上命令とする落合博満のドラゴンズ監督就任により、代表入りは消滅した。














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