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Top > 特集記事 > 風俗 > 2013.3.25
国会図書館が配信したら堂々の人気第1位
80年前の発禁本『エロエロ草紙』の世界へようこそ
■発禁処分のヤバイ本 ■ほかにもあったエロい本
■外性器を見せるため ■シックスナインが好き
あの国会図書館がネットで公開している貴重な資料の数々。その中で一番読まれているのは、80年以上前に書かれた艶本だった。これまで注目されなかった「性典」には、一体何が書かれているのか。

発禁処分のヤバイ本
「あゝ、裸体、裸体、今日の女性は全く裸体を猛烈に要求されてゐる」

「恋人同志は郊外のホテルに疲労を憩ひ、怪しい輝きを帯びた眼差がダブルベッドのほとりに縺もつれ合ふ」

 こんな文章が随所に見られる一冊の本が、わずか1ヵ月で約1万2000人に読まれたのをご存知だろうか。1930年に刊行されるや、たちまち発禁処分を受けたという、その名も『エロエロ草紙』――。

 文化庁は今年2月1日から3月3日まで、国会図書館が保有する本を電子書籍化し、無料配信する実験を行った。国会図書館ですでに公開されているデジタル化資料から作品を選定。夏目漱石や柳田国男、宮澤賢治など13作品を選んだ。

 その結果、ダウンロード数が1万1749件で見事、第1位に輝いたのが作家・翻訳家の酒井潔が著した『エロエロ草紙』だった。

 2位は芥川龍之介の『羅生門』(ダウンロード数1万163件)、3位に芥川の『河童』(同8428件)と続き、名だたる文豪や古典の傑作を抑えて、はるかに多く読まれたことになる。

「もちろん、かつて『公共の秩序を乱す』という理由で、発禁処分を受けた本ということは把握していました。しかし、現在の表現の自由に照らせば、ヌード画やオトナの小噺が入っているにしても、微笑ましい内容で、問題ないと判断しました。社会学的にも貴重な資料と考えています」(文化庁著作権課管理係担当者)

 配信実験にこの本が選ばれたのは閲覧実績があったからだ。国会図書館が所蔵する資料のうち、インターネット上に無料で公開されているものは45万点ほど。こちらは電子書籍版と異なり、本をそのままスキャンしてアップしているものだが、その中でも現在いちばん読まれているのが『エロエロ草紙』だという。

「昨年5月時点ではアクセス数が全書籍中10位でしたが、翌6月から今までは12月を除くすべての月で1位。1ヵ月の平均アクセス数では、2位以下が5000ほどなのに対して、1万を軽く超えている。こんな本は他にありません」(国会図書館電子情報部担当者)

 人気爆発中の『エロエロ草紙』。その世界をさっそく垣間見ることにしよう。

 目次には、「接吻せっぷん」「女給受難」「処女倶楽部の秘密」「オリンピック・エロ」「下から覗く」「好色な神様」などの見出しが並ぶ。

 たとえば「接吻」。

「神よ、何といふお前の口の香かぐはしさ、さァ早く一つ接吻しておくれ、もう一度、おゝ可愛いゝ」

「東が白む頃から接吻して呉れて、(略)まだ飽かずに、夜、夜も、よしこの恋に死ねばとて、妾わらわは猶なおあなたの口を求めます」

 情熱的な愛の交歓とともに、「キッス」のイラストが添えられる。「シネマのキス」、「偽りのキス(女房に対する)」、「馴れたキス」、「乱暴なキス」……。

 接吻の項に限らず、本の随所にちりばめられたイラストがエロ洒落ている。

「女給受難」「スワ!強盗!」といった1ページ漫画では女性の胸がポロリと出る。かたや「禁断の楽園」と題されたイラストでは、若い女性が下着をはだけて艶めかしい姿態を見せている(本誌164ページ上写真)。

「下から覗く」という1ページイラストは、文字通り木や塀に登っている女性を、下から眺めた様子を描いたもの。これなどはフェチもののAVにしたらそれなりのニーズがありそうだ。

 男の妄想は時代が変わっても、そうは変わらないことの証左とも言えるが、他方で、時代を感じさせるこんな一文も。

「人類の危機を最も平和的に解決し、人口過剰をふせいで今日の不況を免かれるのも、老人に若い女をまかせてをいてこそ」(「すべての若い女を老人へ」という小噺の項より)

 ほかにも恋ごころを詠む詩や、エロ小噺、裸婦の絵とまったく同じポーズを女性に取ってもらい、その比較をした項など、様々な性の表現が渾然一体と繰り広げられる。

 著者の酒井氏が後書きで、「エロエロ草紙はイロイロ草紙である」と振り返るように、まさに“エロの総合デパート”と言うべき一冊なのだ。











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