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Top > 特集記事 > 社会 > 2013.4.1
全国民必読 自分の命は自分で守れ! 時速300kmで走行中に巨大地震発生 助かる方法はあるのか
M9南海トラフ大地震 そのとき東海道新幹線はどうなる?――どこも報じない、いまそこにある恐怖
■巨大地震と新幹線「地震対策」の空白地帯 ■津波にのまれる可能性
■新幹線で大地震「ここに乗っていれば大丈夫」 ■富士山が噴火したらどうなるか 東名高速に乗っていたらどうするべきか
■非常電話を有効に使う  
日本が世界に誇る夢の超特急・新幹線。脱線・衝突による乗客の死亡事故はゼロ。だが、迫り来る巨大地震と富士山噴火でも「絶対安全」と言い切ることができるのか。
第1部 そろそろやってくる
巨大地震と新幹線「地震対策」の空白地帯

 東日本大震災から2年が経ったいま、日本を再び巨大地震が襲う日が近づいているのではないか、という不安が高まっている。

 政府は昨年8月に引き続き、今月18日に南海トラフ巨大地震の被害想定を発表し、最大で220兆円超の経済的損失が発生する恐れがあるとして、地方自治体や企業にあらためて対策を呼びかけた。

 あの大震災以来、日本は地殻変動の活動期に入ったとされる。非常事態はまだまだ続いているのだ。

 そして私たちは、東日本大震災が残した重い教訓も忘れてはならないだろう。

 地震と津波によって発生した、福島第一原子力発電所の未曾有の大事故。

 それまで原発では「安全だから事故など起こらない」「起こらない事故の想定はしなくていい」という、とんでもない論理がまかり通っていた。いわゆる「安全神話」だ。

 次なる巨大地震が刻一刻と迫るなか、もはや私たちにこのような安全神話は許されない。あらゆる分野で、常に最悪の事態を想定し、何ができるかを検討しておく必要がある。

 そこで今回、本誌が注目したのが、年間にのべ約1億4300万人('11年度)が利用する東西交通の大動脈・東海道新幹線。その安全対策はどのように行われているのか。技術評論家の桜井淳きよし氏はこう語る。

「東日本大震災の際、営業運転中だった東北新幹線は1両も脱線しませんでした。

 しかし、これは大変な幸運によるものであって、M9クラスの地震になっても新幹線は大丈夫なんだと短絡的に考えるのは間違いだと私は思いますね」

 たしかに、新幹線は安全な乗り物というイメージが強い。'64年、東京オリンピックの年に東海道新幹線が開業して以来、脱線・衝突など走行中の事故による乗客の死亡者数はゼロ。

 国際的にも評価は高く、今年3月にはインドが日本政府との間で導入を基本合意したと報じられるなど、日本の花形商品なのだ。

 その東海道新幹線は、地震対策の要として、早期地震警報システム「テラス」を導入している。

「地震には、速く伝わる細かい震動、P波(初期微動)と大きなエネルギーを持ったS波(本震)があります。

 テラスはP波を検知して、すぐに電力の供給を絶ち、大きな揺れが到達する前に新幹線の速度を落とす仕組みなのです」(桜井氏)

 JR東海によると、テラスで地震を検知して電力を絶つと、時速270km(営業運転の最高速度。山陽新幹線の区間では時速300kmが最高速度)で走行していた場合、新幹線は最大約4km進んで止まる。かかる時間は約90秒だ。

 だがそれでも、東海地震や南海トラフ巨大地震でこれまでの常識が覆される可能性は否定できない。前出の桜井氏はこう話す。

「東海道新幹線のコースにはカーブが多く、アップダウンも激しい。フランスなど外国で高速鉄道を運行している関係者からは『東海道新幹線はジェットコースターだ』と言われるくらいなのです。停止するまでの4kmの間にカーブにさしかかり、本震の大きな揺れを受けた場合、遠心力で外側にずれて脱線・転覆することも考えないといけない」

 万が一、脱線・衝突が起これば、軽量化のため柔らかいアルミ合金で作られた車体は大きくひしゃげ、多数の死傷者が出る可能性は否定できない。

 107人の犠牲者を出したJR福知山線の脱線事故でさえ、事故時の列車の速度は時速約116kmとされる。もし仮に、脱線によって、向かい合ってすれ違う新幹線同士が接触するような事態となれば、相対速度は時速500kmを超え、被害は計り知れないのだ。

 こうした事態を防ぐために導入されているのが、脱線防止ガードだ。車輪の乗るレールの内側に、並行して左右2本、レールのような器具が設置される。車両が脱線しかけた際は、車輪をレールとの間に挟みこんで押さえ、浮き上がりを防止する仕組みだ。

 JR東海は今年3月までに、この脱線防止ガードを新幹線が高速で通過する分岐器(ポイント)の手前など総延長70kmの範囲に設置している。

 さらに'03年に政府が発表した東海地震の震度予想に基づき、震度6強以上の揺れが想定される区間、総延長124kmへの設置も進めている。工事完了は7年後、'20年3月の予定だ。

 だが、実はこの計画だと対策の空白地帯となってしまうエリアがある。上の図を見てほしい。南海トラフ巨大地震の震度予想と比較すると、愛知県の豊橋駅から名古屋駅周辺の地域に、計画から取りこぼされた震度6強以上の地域があることが分かる。

 もちろん、新しく発表された震度予想に従来の計画が対応していないのは当然だ。そこでJR東海広報部に、今後この区間についても追加的な地震対策を行う予定があるかを訊いた。














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