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Top > 特集記事 > 社会 > 2013.4.8
大研究 病院で殺されないために知っておくべきこと
「検査」のウソ――病人はこうして作られる
■なぜ「基準値」はこんなにいい加減なのか ■このままでは全国民が病人に
■「医は算術」なのか ■医師が自分で使っている「正常値」
■前年の数値と比較する  
あなたはなぜ健康診断を受けるのですか? 「元気で長生きするため」そう即答したあなたは要注意。かえって、寿命を縮めているかもしれません。健康でいるための「本当の秘訣」、お教えします。
第1部 これでは病人が増えるだけ
なぜ「基準値」はこんなにいい加減なのか

 昨年発表された最新の数値は7.8%。過去最低記録だったという。この数字、何を表しているのか。

「人間ドックで『異常がなかった人』の割合です。日本人間ドック学会がこの数値を発表しています。つまり、検査を受けた人の92.2%は、身体に何らかの異常を抱えているということ。そんなに日本人は不健康なんでしょうか」

 医学博士の中原英臣医師はこう嘆く。

 実際、健診や人間ドックを受けて「要注意」「要再検査」と書かれた診断書を見て青ざめた経験がある人も多いのではないだろうか。

 医療技術が進歩し、「早期発見、早期治療」が叫ばれるいま、日本人はどんどん健康になっているはず――が、現実はそうではない。「病人」がどんどん増加しているのだ。そこには、知られざる落とし穴が数々潜んでいるという。

 まず知っておくべきことは、検査の「基準値」が病院によって違うということだ。その値から外れると、健康に異常があるとされる基準値。誰にも当てはまる科学的根拠のあるデータをもとに割り出された数字と思いがちだが、ある病院で検査を受けたら「異常あり」、別の病院で受けたら「問題なし」と判定されることが珍しくないのである。

 なぜ、そんなことが起きるのか。慶応大学医学部放射線科の近藤誠医師が言う。

「慶応大学病院の場合、健康な職員を採血し、彼らの数値を高い方から低い方へと並べて、上下各2.5%の値を切り取ったものが基準値です。この方式はどこの医療機関でも同じです」

 つまり、各病院や検査機関が「健康な人」と認めた被験者の95%が入る数値が基準値として設定される。被験者が違えば、当然、基準値が異なってくる。言ってみれば「基準値」とは、検査機関ごとのローカルルールにすぎない。

 ここで疑問を抱くのは、被験者となる「健康な人」をどう探すかということだ。言い換えると「健康」の定義そのものは何なのか。じつはこれがあいまいなのだ。

 新潟大学名誉教授で、水野記念病院理事の岡田正彦医師が実態を語る。

「健康な人というのは、各検査機関が、アンケートで過去の重病の有無を尋ねたり、薬を飲んでいるか、妊娠していないかなどを尋ね、該当者をすべて外した残りの人のことを言っています。そうした人を『健康』と見なし、採血してデータを出しているのです。その人が『自分は健康だ』と自己申告しても、明日、突然亡くなってしまう可能性は誰にもわからない。

 健康かどうかは検査しなければわからないのだけれど、検査した数字を判断するためには、本当に健康だと裏付けられた人のデータが必要になる。でもそれがないから堂々巡りになっているのです。この状況から逃れる方法は、ほぼないでしょう」

 これだからこそ、検査の基準は混乱を極める。ちなみに、以前は基準値のことを「正常値」と言っていたという。呼び方が変わったのも、うなずける。

 上図に記したのは、首都圏にある総合病院の26年前と現在の基準値の推移だ。この表からもわかるとおり、同じ病院であってもその時期によって被験者が異なるため、基準値が上がったり下がったりしている。たとえば血糖値が110mg/dlだった人は、'87年の時点では「異常なし」だったのに、現在は「要注意」と判定が出てしまうわけだ。














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