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Top > 特集記事 > 社会 > 2013.4.22
緊急総力特集 世界は憎しみにあふれている
ボストンマラソン 次は東京 爆弾テロこれは始まりだ
■テレビは放映しない地獄絵 ■ターゲットは決まっている
■日本が狙われる理由 ■国際マラソン大会はもう開催できないかもしれない
■映画の1シーンのように ■警備強化では解決しない
アメリカの誇る「平和の祭典」が、一瞬にして大惨事に変わった。その後、オバマ大統領に送られてきた“猛毒封書”。アメリカはあの「9・11事件」の時代に戻ったのか。そしてその時、日本は――。

テレビは放映しない地獄絵
「私がゴール目指して、最後のボイルストン通りの直線を、必死に走っていた時のことです。進行方向左手前方で、突然ゴーンという轟音が鳴り、白煙が上がった。そして続けざまに、私の真横でバーンという爆音が鳴り響きました。ビックリして立ち止まると、観客たちが目の前で血まみれになって倒れているではありませんか。

 すぐに警官が飛び出してきて、『ゴールに向かうな!』と叫んだ。だがあとわずか50mだったので、構わずゴールすると、そこにはもう誰もいませんでした」

 このように“恐怖の体験”を語るのは、ボストンから帰国したばかりの埼玉県の会社員、福田純一さん(62歳)だ。

 4時間9分43秒――117回の歴史を持つボストンマラソンのゴールの時計がこう刻んだ時、世界のマラソン大会史上、未曾有のテロが起こった。

 すぐに何十台という救急車がサイレンを鳴らして駆けつけ、倒れ込んだ人々を担ぎ込んだ。だが血まみれの人や、足が吹っ飛んでしまった人など、ボストンマラソンのゴール周辺は、一瞬にして生き地獄と化したのだった。

 福田さんが続ける。

「重傷の患者を乗せた救急車は、ハーバード大の関連病院やタフツ大病院に向かいました。思えば私も、間一髪で運ばれるのを免れたのです。世界のランナーが、一生に一度は走りたいと憧れるマラソン大会で、このような惨事が起こったことが、いまだにショックでなりません」

 アマチュアランナーとして、3時間7分20秒という記録を持ち、かつてハーバード大に留学経験もあるジャーナリストの相馬勝氏が続ける。

「あのゴール付近は、ボストンの中心地区で、一流ホテルや有力企業がズラリと並んだビジネス街です。ボストンマラソンを走ってみると分かりますが、規制や手荷物検査はなく、市民が自由に集まって応援できる素晴らしい環境です。その盲点を突いてテロに及んだ卑劣な犯罪と言えます」

 相馬氏が語るように、ボストンは、ハーバード大学やMITなどの全米屈指の名門校がひしめく閑静な学園都市である。アメリカ東部のマサチューセッツ州の州都でもあり、人口は60万人。うち日本人は、留学生など約1万人だ。

 ボストンマラソンは第1回オリンピックが開催された翌1897年、「愛国者の日」(4月の第3月曜日)に始まった。ロンドン、ベルリン、シカゴ、NY、東京と並ぶワールド・マラソン・メジャーズの一角で、日本勢は、瀬古利彦選手を始め、過去に8回、優勝している。今年のボストンマラソンには、2万3326人が出場し(日本人は191人)、観客数は50万人以上に及んだ。

 アメリカが爆破テロによって死傷者を出したのは、'01年の「9・11事件」以来、12年ぶりのことである。それだけに、オバマ大統領が慰問に訪れるなど、全米がこの話題一色になっている。

 '01年の事件は、ブッシュ政権への敵意を剥き出しにした国際テロ組織アルカイダと、リーダーのオサマ・ビン・ラディンによる犯行だった。アメリカ政府が一昨年、10年間追い続けたビン・ラディンを、パキスタン国内で暗殺したことは、まだ記憶に新しい。

 4月18日、FBI(米連邦捜査局)は容疑者二人の写真とビデオ映像を公表した。そこには野球帽をかぶり、バックパックを持った姿が映っている。

 それではこれほど大規模なテロを起こした犯人は一体、何者なのか。テロ対策の専門家で、前衆院議員(民主党)の首藤信彦氏が解説する。

「手口から見て、国際テロ組織の犯行ではなく、社会的に孤立した“素人”の犯行と思われます。アメリカではマラソンというのは、富裕層のスポーツです。いまのアメリカは、経済的な格差が広がり、若者の間に深い絶望感が広がっている。そうした絶望感や怒りが、今回の犯行の動機と思われます」

 同じく国際テロの専門家である公益財団法人公共政策調査会第一研究室長の板橋功氏も語る。

「私は『ローン・ウルフ』か『ホーム・グローン・テロリスト』による犯行もありえると見ています。前者は過激化した寂しい個人で、'10年5月にNYのタイムズスクエアで起こったテロ未遂事件が、その典型例です。この時の犯人は、パキスタン生まれですがアメリカ国籍を取得し、MBAまで持っていました。

 また後者は、テロの起こった国で生まれ育った移民2世という人々です。'05年7月にロンドンで起こったテロは、イギリスで生まれ育ったパキスタン系2世の犯行でした。今回のボストンも同タイプの犯人による犯行かもしれません」














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